2014年01月11日

焙煎スタイル!

新年あけましておめでとうございます。
昨年は、ブログの更新が少なすぎましたので、今年は去年の倍くらいにしたいなと思います。できれば月イチくらいで書きたいですね(去年はそんなに少なかったんだ!)。それでは今年もよろしくお願い致します。




さて2014年最初のお話は、焙煎について。


焙煎をするのに、これはほかのことにも言えるのであるが、やっぱりここをおろそかにはできないなあと思うのが段取りである。段取りをきちんとしたほうがいい理由は、段取り通りにやれば素晴らしい結末が待っているから、である。
もともと「段取り」は芝居で使われる言葉で、芝居を成功させるために細かいところまできちんと決め事をしておくこと、だそうで、焙煎も同じで、カップにしたときの素晴らしいコーヒーを思い描いて、その結果になるように細部をきちんとデザインすること、これが段取りであろうと思う。

それを踏まえて僕が大事に思っていることは、二つである。
一つは、きちんと自分の中でカップにしたときの素晴らしいコーヒーがイメージできているかということ、もう一つは、そのためにデザインした段取り通りに進行したかということ、である。
この二つの要素は主従の関係になっていて、まずイメージがあり、それを実現するための段取りをデザインし実行するわけである。
この主と従が逆転することは無い。なぜなら、完成型のイメージが無いのに段取りが組めるわけが無いからである。

さて、この二つであるが、非常に大事な前提条件をそれぞれに持っている。
まずイメージの話では、その完成型、つまりカップになったときに、素晴らしいものになっているということ、そしてそのカップはきちんと自分の目指しているものであることである。
そして段取りの話では、その段取りは完成型になるようにデザインされているか、そして再現性が高いものかどうかが大事だ。

二つを並行して話していとどうもこんがらがりそうなので、イメージと段取りの話を分けて、すこし説明しよう。

イメージというのは、カップにしたときに、飲んだ人がこう思うはずだという具体的なイメージである。それは、焙煎者によって違って当然だろうし、実際に違うのだろうと思う。
例えば、こんな感じだ。
焙煎者A「スペシャルティコーヒーの神髄を味わってもらえるようなカップ」
焙煎者B「毎日飽きずに飲めるコーヒー」
焙煎者C「深煎りファンが唸る味」
焙煎者D「違う世界にトリップできるような」
焙煎者E「イタリアのバールを彷彿とさせる」
焙煎者F「小さな幸せを日常に感じてもらえるカップ」
エトセトラエトセトラ(素子嬢オマージュ)。これは焙煎者の数だけイメージがあってもいいのではないかと思う。
イメージするところが何かというのが決まっていれば、いつもその心の原則に従って焙煎をするはずである。ブラジルであれエチオピアであれ、コンテスト入賞豆であれ平凡な豆であれ、いつも心の原則が生きた焙煎になる。そしてそれが焙煎者のスタイルになる。
つまり、カップにしたときにその焙煎者それぞれのスタイルがカップに出るわけなんだ。ただ、最初からスタイルがあるわけじゃない。そのスタイルは作り上げていくものである。厳しい言い方をすれば、スタイルを確立しなくていいい焙煎者もいるだろうし、確立したくても志半ばで舞台を降りる人もいるだろう。スタイルがあると思ってやっていても伝わらないってこともあるかも知れない。むしろ、スタイルがあるって周りが認めるほどの焙煎をしている人のほうが極々少数派なのだろう。僕だって、ぜんぜんスタイルがあるなんてとこに到達してない。でもそのスタイルをなんとかして表現したいと思ってる。

段取りについては、これはもうイメージしたカップを実現するためにどうやったらいいかということに尽きる。
投入温度は? ガスのコントロールは? というようなテクニカルな部分をきちんと段取りしてなければダメだ。毎回ブレるようでは、タナボタなカップがあるようでは、ダメ。どういうカップにしたいかというのがあればその結果を得るために段取りが決まるわけだから、ブレたりフロックがあったりはしないハズなんだ。
ただし、その段取りは「こんくらい」が通用する世界である。「釜の蓄熱量がこんくらいだから、ガスはこんくらい」が通用してこそスタイルだと思う。データ通りに再現したら同じ焙煎になった、ではスタイルが出てるとは思えない。スタイルがあるってことは「あ、これはアイツが焼いたコーヒーだ」ってことなんだ。
それをもっと突き詰めて考えていくと、焙煎しているときの服装や、その時に聴いてる音楽、焙煎機に当たる照明なんかも、目指すカップに合わせていかなきゃならない。(おっとオカルトじみてきましたか? 読者がサーっと引いていく音が聞こえますが気のせいですか?)

で、イメージの話と段取りの話の理解が深まったところで、ちょっと前のほうに戻る。
主従は逆転しないという話だ。

主はイメージ、従は段取り。これが合わさってスタイルになる。
という話なのだが、まず段取りありきということにはならないところが重要である。例えば、とあるコーヒーを飲んだら「ちょっと焦げてる」と感じたとする。しかしそれがスタイルであれば容認され得るというところが重要なのである。
主であるイメージに「ちょっと焦げ」という要素が入っていればそれはむしろ成功であると言える。きちんと「ちょっと焦げ」をカップに出すように従である段取りをデザインできており、その段取り通りにきちんと焙煎した結果であるからだ。
ネガティブな「焦げ」を例に出すとわかりやすいので、最初にこの例を出したが、そのカップを手に取った全ての人が感じるすべての要素が、スタイルとして容認され得るところが重要である。極端なところを言えば「彼の焙煎したコーヒーは美味しくない。しかしそれが彼のスタイルとしてそれが支持されている」ということもあり得るのである。もちろんポジティブな要素でスタイルが構成されている場合のほうが多いと思う。しかし、ネガティブな要素がスタイルになり得ない、ということはあり得ない、のである。

コーヒーそのものの価値のほかに、お客様はいろんな価値を見出してそのコーヒーを支持する。常に袋の中のコーヒー豆だけの価値で購入するわけではないし、カップの中の液体のみを味わって判断しているわけではない。
パッケージはどうか、お店の雰囲気は、立地条件や交通の便、コーヒー以外のメニューは、などとコーヒー以外にまつわる要素はいくらもある。しかしながら、スタイルというものに惹きつけられてそのコーヒーを支持する、ということもあって然るべきだし、実際にある。無いと困る。(無いってことになるとここまでの長文が意味無くなっちゃうんだよ)

誰かを惹きつけてやまないそのスタイルの圧倒的な魅力の前では焦げや水抜き不足など取るに足らない揚げ足取りなのかもしれないし、良く焼けたからと言ってそれがスタイル未満であれば誰かの目を奪ったり足を向けさせたりする要素にならないのかも知れない。
というようなことが、ある。あると信じる。信じて、僕は焙煎するのだ。



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2014年、新しい焙煎「b-profile」によるコーヒーを順次発売していきます。
いままでのSSEのようで、まったく新しいSSE。そんなコーヒーを実現する「b-profile」コーヒーで、いままでと違うSSEのスタイルを感じてください。
posted by ホゼ at 20:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 焙煎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月23日

富士ローヤルのちょっと新型な焙煎機をおさわりしてきました

国産焙煎機メーカーの富士珈機の東京ショールームに行ってきた。

富士珈機

入り口はこんなところ。



スマホでマップ見ながら行ったのにぜんぜんわからない。カンバン無いの?
と思ったらあった。自動ドアの左下のあたりを見ると小さなカンバンが(笑

入ると、大きなのから小さなのまで、たくさんの焙煎機が並んでた。そりゃそうだショールームだもの。
んで、今日おさわりしに来たのはコレ。



写真手前にあるやつで、これで3kg釜。つまり最大で3kgの生豆を投入できるということ。
(実際には3kg投入して美味しく焼くのは難しいので、よく言われるように7割程度、2キロくらいの投入という人が多いみたい。多くて2.5kgとか。逆に少なく焼くのも難しくて、3割以上は入れたいというわけで最低は1kg程度からということになる)

焙煎機そのものは、富士珈機で従来より販売しているタイプで、マイナーチェンジはときどきしているのだろうけど、基本的にはウン十年作り続けているものである。
しかしこのショールームにあるコレ、コレには秘密兵器が導入されいてるのである。

※冒頭にリンクした富士珈機のサイトのどこを見ても掲載されていないパーツなのでこれはきっと秘密兵器なんだろう

それは何かというと、ステンのドラムである。
通常のは鉄でできているパンチング加工された板を巻いてあるのだが、その板をステンで作ったドラムが、インストールされているのである。
富士珈機の営業さんが言うには(少々まとめ&デフォルメがあるかもですが細かいこと覚えてないのでこんな感じのこといってましたよ)「デリケートな操作が必要だけどバッチリ使いこなすとまるで別物な風味になる」ということだった。

えーっと、その性能を僕が発揮させることができるんでしょうかね・・・ ちょっと不安・・・

時間がないのでそんなこと言ってるヒマもなく、ざっと説明を聞いたらさっそく焙煎。
まず富士珈機の営業さんの推奨プロファイルで焼いてみる。
データをいただいたら時間の経過と温度、ガス圧、ダンパー操作など一通り書いてある。これ、このまま操作するとそのプロファイル通りに焙煎できる感じ。
次に、僕が普段焼いているプロファイルに近づけてやってみた。
って簡単に書いてるけど、実は富士珈機さんの推奨プロファイルはけっこう僕のと違ってて、僕のプロファイルに合わせようとすると、ガス圧にしろダンパーにしろどのくらい変化させればいいのか見当もつかなかった。んで、エイヤーで合わせてみたら奇跡的に狙ったプロファイルにかなり近い感じで焼けた。
無駄にプロファイルをあわせるためだけに豆を無駄にしなくて良かったー。

で、焼いたら飲む、である。



風味の検証をして、次の焙煎の材料にする。そしてなんとか無理やりだけど思ったような焙煎ができたところで、今日はおしまい。お昼またぎで都合三時間ほどお邪魔してしまった。富士珈機さんありがとうございました。




肝心の秘密兵器の件なんだけど、鉄ドラムとステンドラムの比較をしていないのでなんとも言えないですすいませんwww



ちなみに、富士珈機のこのページを見ると、このショールームで月に二回開催されている焙煎機開放デーに関して情報が得られるので、興味のある方は見てみてください。
参加費3000円で焙煎機を試用することができますよ。
posted by ホゼ at 21:33 | Comment(2) | TrackBack(0) | 焙煎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月02日

焙煎も自由だ!

前回の記事から時間があいてしまってすいません。
んで、時間があいた割には同じようなネタです。

焙煎の一般的な話と、サンシャインステイトエスプレッソの焙煎の話を前回したわけなんだけど、その中でSSEの焙煎はちょっと一般的な定義と違うんです、という内容の話をさせてもらった。

焙煎って焙煎人の数だけ理論があるとかそういう感じのことなんだけど、おおむね【浅い〜深い】の中でどう分けていくかという区分けをしていることが多いんだと思う。
【浅煎り、中煎り、深煎り】とか【ハイロースト、シティロースト、イタリアンロースト】みたいな区切りをすることが多いのではないだろうか。

そんな区切りがメインストリームな中、当店の区分はどうなっているかというと。
Mercury Roast
フレッシュ感を特に取り出した焙煎、キレのある口当たりをお楽しみいただきます。
Venus Roast
明るいキャラクターで華やかな雰囲気を持っています。特にコーヒーの持つ果実感を重視しています。
Earth Roast
バランスが取れた焙煎、飽きのこない毎日飲める風味特性を目指しています。
Mars Roast
ミルクとの相性がよく、アレンジドリンクにも向きます。マイルドで落ち着いた風味はアイスコーヒーにも適しています。

となっている。浅いとか深いとかじゃない区分である。

勢いのある若手ロースターでホノローステリアというところがある。
>>ホノローステリアのウェブサイトを見てみる
こちらのロースターのコーヒーは、こんな区分になっている。
わたしたちのオリジナルスタイルであるイーブンダークローストは、炎の味であるローストフレーバーと、素材であるコーヒー生豆がもっている大地の味に、50:50のバランスを持たせたダークロースト。
香ばしく、円やかでありながら豊満で、力づよいうつろいと、ながい余韻を味わうことができます。

炎のちからを封じ込めたイーブンロースト。ローストしたばかりの表面はマットですが、ゆっくりとオイルが染み出して、1週間かけてしっとりとした艶のあるコーヒー豆に。

イーブンダークローストはリアクションがとても強いので、マシンエスプレッソとして適切に抽出するために、14日のエイジングをおすすめします。

ダニッシュローストは、デンマーク・コーペンハーゲンを訪れたときに学んだ、「生豆の個性そのものを、カップに表すこと。」を、ホノのやりかたで追求したローストです。
ダニッシュローストはライトローストに属する手法のひとつですが、過度のミネラル感やタンニンがカップに迷い込まないように、注意深くローストが施されています。


独創的であり、面白い区分である。

世界最大のコーヒーチェーンのひとつ、スターバックス。こちらも焙煎の区分がほかと違うようだ。
スターバックスは、コーヒーをローストのレベルで3つに分類しました。豆ごとに少しずつ異なるローストの時間や温度を40年もの蓄積された経験と技術をもったマスターロースターが探求しています。香り、酸味、コク、風味。まずは、あなたのお好みのローストから、お気に入りの1杯を見つけてみませんか。

として、「ブロンド」「ミディアム」「ダーク」の三つに区分している。
皆さんご存知の通り、ブロンドは最近追加された区分である。

もちろん従来の区分(浅い〜深い、シティやイタリアンなど)というのは焙煎の進み具合に対して一定のポイントを定めて区分していくわけで、合理的だしわかりやすい。それらを否定するつもりはまったく無い。
しかし、そういう旧来の言い方ではなく、独自の区分を用意しているところが増えているように思う。

こういうロースターがもっと増えると楽しいなあと思う。

コーヒーは自由だ!(もちろん焙煎も自由だ!)
posted by ホゼ at 16:13 | Comment(2) | TrackBack(0) | 焙煎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月22日

焙煎の度合いについて(あるいはSSEのコマーシャル)

コーヒーの生豆に熱をかけることが焙煎である。



焙煎の度合いによって味が変わるというのは、なんとなく皆さん経験則として知っていると思う。そのため、焙煎の度合いを風味の目安として使用することが多いと思う。
「コクのあるコーヒーが好きだから深煎りがいい」
てな具合である。

コーヒー豆の焙煎度には、一般的には8段階からなるシステムがよく用いられる。

1度 ライトロースト
2度 シナモンロースト
3度 ミディアムロースト
4度 ハイロースト
5度 シティロースト
6度 フルシティロースト
7度 フレンチロースト
8度 イタリアンロースト


このいくつかを括って、三つに分けたのが「浅煎り」「中煎り」「深煎り」である。さすがに三つに分けただけでは足りなかったか「中深煎り」などという中間の言い方をするときもある。

これらの分類の目安になっているのが、コーヒー豆の表面の色、釜から出したときの温度、それと、ハゼである。
コーヒー豆の色は、深いローストほど黒っぽくなることから目安になることはわかると思う。
また、焙煎が進行するとコーヒー豆の温度がどんどん上がっていくので、それも目安になり得る。
そしてハゼだが、コーヒー豆は焙煎するときにパチパチと音を立てる瞬間がある。それをハゼと呼んでいるが、最終的に炭になるまで焙煎するとハゼは2回やってくる。そのハゼは焙煎の進みに応じてある程度規則的にやってくるので、このハゼを焙煎の目安にすることができる。

コーヒー豆の色については、アグトロンという数値を使用して焙煎度とする場合もある。日本ではあまり一般的とは言えないが。
アグトロン社の分光光度計を使用してコーヒー豆表面の色の濃さを測定して「アグトロン55の焙煎」などと言うことがある。

さて、これらの焙煎について前提条件があることが推測できる。

熱のかけかたは、ある程度の基本ラインがあって、それを大幅に動かすことは無いのだろうということだ。
でないと、色とか温度とかで目安をつけることができなくなるからね。
短時間焙煎とか長時間焙煎とかいう言い方があるんだけど、これって裏を返せば「焙煎にはそれぞれある程度の焙煎度に達するまでに決まった時間があって、その焙煎に要する時間で区分することができる」ということだ。そして、焙煎に要する時間が決まっているということは、熱のかけかたがそれなりに決まっているということだ。
それを専門用語で言えば「焙煎プロファイルは大きく変えない」ということだ。

つまり、コーヒーの生豆の状態から焙煎した状態にするまでの熱のかけかたは、ある一定のラインがあって、そのライン上のどこで釜から出すかということで浅い焙煎から深い焙煎を作り出しているということだ。

なんかややっこしい言い方になってしまったけど、簡単に言えば、1000ワットのオーブントースターにパンを入れて、タイマーを何分にセットするかで焼き加減を調整するということと同じだ。普通、1000ワットを途中で500ワットや800ワットに切り替えたりしないよね、そうすると3分で焼いたときにどのくらいの焼き加減になるか当てずっぽうになっちゃうもんね。

というわけで、焙煎する人によって焙煎のプロファイル(熱の量やかけ方)は違うけれども、焙煎する人はたいてい、大きく変わらないプロファイルで浅煎りから深煎りまで焼いているということだ。


さて、ここで疑問がある。なぜプロファイルが一定になりがちなのだろうか。


その答えは・・・と引っ張って、特に答えは用意していないのだが。

たぶん、一定のプロファイルを作って、そこに微調整をしていくというのが、面倒がなくていいということはあると思う。
そしてもうひとつは、その焙煎者にとって「美味しい」プロファイルというのがおのずと決まってくるのかなあと思う。
ま、想像だけどね。

そして、一定のプロファイルの中で、どこで釜から出すかということで焙煎度が決まるわけ(言い換えると、どの焙煎度にするかで釜から出すタイミングを決めるということ)。

プロファイルがおよそ一定であれば、焙煎の度合いは釜から出すタイミングである程度固定できる。たぶんだけど、だから一定の決まりごとみたいな感じで焙煎度合いを決めても不都合が無いわけなんだろうなあ。


こっからが本題。というかコマーシャル。


僕が焙煎を始めたのはついこないだなんだけど、いろいろ勉強したりいろんな人に焙煎の話を聞いたりしながら焙煎していく中で、どうにも越えられない壁があった。
それは、焙煎にはセオリーがあるね、ってこと。そして、焙煎にはセオリーが無いね、ってこと。
何を言ってるんだという話なんだけど、例えば、こういうことなんだ。

ある程度良い結果が出る焙煎方法の場合は、どんな焙煎方法にしろ、そのほとんどの方法は、すでに誰かが試している。つまり、どんな方法にしろ、セオリー通りである。
しかし、それはつまりどんな方法にしろ一定のセオリーなど無いってことでもある。
焙煎そのものの歴史が長いために、過去に試すことができたであろう方法は、どっかの誰かがすでに試しているってことなんだ。そうすると例えば「投入温度が高ければ」「焙煎時間を長くとれば」「遠火の強火にすれば」「排気を多くすれば」「釜のサイズに対して少なめに投入すれば」・・・どんな疑問もたいていは答えが用意されているってわけ。つまりはどんな焙煎方法も、あらゆるパラメーターの組み合わせに過ぎず、その個々のパラメーターの変化に対する答えはおおよそ想像がつく(というか実験されている)わけなんだ。

この、セオリーというものの存在が僕の目の前に大きな壁となって立ちはだかった。

セオリー通りにやろうとすると、正解がわからなくなるんだ。
例えば、短時間焙煎と長時間焙煎。風味に対してどっちもメリットがあり、どっちもデメリットがある。これは同じコーヒーを二つの条件で焼き比べるとわかる。どっちがいいってもんじゃないんだ。でもこれ、どっちもある意味セオリー通りなんだよね。だからこそ、短時間の人と長時間の人がいるわけだけどね。

じゃあどっちにすべきなの?

どっちに「すべき」ってもんじゃないんだね。どっちでもよろしい。どっちも正解。対立するふたつの方法がどっちも正解。その間を取った中時間焙煎(という言い方があるかどうか知らないけど)も、もちろん正解。全部正解。

ほら、困っちゃうでしょ。どれも正解なのにどれかに決められないよ。

釜の初期温度は? 排気はニュートラル?引きを強く?こもり気味で? 投入量はキャパいっぱい?半分くらい? ・・・もうどれもこれも正解なんだよね。正解がありすぎて困るんだ。

そして、どの正解を採用するかで同じような色になったコーヒー豆も風味が違ってくるんだから「この色はシティ」とか「2ハゼ入ってすぐおろしたからフルシティ」とか言えないと思うんだ。だって、同じような色でもパラメーターを変えれば(プロファイルが違えば)、風味が違ってくるもんね。

というわけで、サンシャインステイトエスプレッソの焙煎部門ではプロファイルはもう焙煎度というのにこだわるのはやめようと思うのです。



++++ ここからがほんとにコマーシャルタイムです ++++



サンシャインステイトエスプレッソの焙煎は、4タイプ。

Mercury Roast

フレッシュ感を特に取り出した焙煎、キレのある口当たりをお楽しみいただきます。


Venus Roast

明るいキャラクターで華やかな雰囲気を持っています。特にコーヒーの持つ果実感を重視しています。


Earth Roast

バランスが取れた焙煎、飽きのこない毎日飲める風味特性を目指しています。


Mars Roast

ミルクとの相性がよく、アレンジドリンクにも向きます。マイルドで落ち着いた風味はアイスコーヒーにも適しています。




浅いとか深いとかじゃないです。こーゆー焙煎です。何度とか、排気はとか中点はとか聞かないでください。

正解はひとつじゃない。だからこそ、僕なりの焙煎をしていこうと思います。
SUNSHINE STATE ESPRESSO Roasting Dept.をよろしくお願いします。
posted by ホゼ at 21:30 | Comment(15) | TrackBack(0) | 焙煎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月20日

小さい焙煎機で知る「水抜き」の話

小さい焙煎機、サンプルロースタークラスの話だけど。

よく焙煎で聞くキーワードに「水抜き」というのがある。
コーヒーの生豆は平均すると水分を12%ほど含んでいる。そして、焙煎が終了したコーヒーはおよそ2〜3%の水分量だそうだ。つまり、約10%の水分が、焙煎することにより蒸発してしまうことになる。そのほかにたんぱく質や炭水化物など、焙煎途中にどっかに行ってしまうものや変質してしまうものがあるので、実際には15〜20%ほどの重量減になる。

さて、焙煎中の水分の放出について調べると、たいていは「100度を超えると水分が蒸発し始め」と書いてある。理屈ではそうなんだけど、釜内の温度(豆温)を見ながら排気口に手をかざしていたら、100度ですぐに水気が出てくるわけではないことに気付いた。
センサーの当たる豆の表面温度が100度になったところで、豆の内部はまだまだ冷たいままだ。そりゃ水気は出てこない。ためしに豆温が100度を超えたあたりで取り出して割ってみると、確かに中は冷たいままだ。
さて、それでは水分はいつ出てくるのかと言うと、130度くらいからじんわり出てくる感じだ。しかしこれもプロファイルにより前後してしまい、温度上昇カーブを急にするともう少し後ろ、緩やかにすると前になる。つまり、豆の中のほうの温度が何度かってことも、水分の蒸発の要素なのだろうと思う。

これは水分計などというような高級なセンサーを使用しているわけではなく、手をかざすという原始的な方法をとっているため、じんわり出てくるというのは手をかざすと湿気を感じるという意味である。そして、水気の大小は手の湿り具合で判断している。

温度の上昇が水蒸気により妨げられ、釜内の温度が上がりにくくなる。そして150度くらいからバンバン水分が出てくる。加湿器のノズルくらいの勢いで出る。まだ焼けるという温度ではないため、このときに白っぽい排気になるのはほぼ100%水蒸気である。それで白く見えるくらいなんだから、よほど水分が出ているのだろう。手に汗をかくくらいである。
しかし水蒸気が猛烈に出始めると、収束は早い。ファーストクラックになるまで、水気とのしばしの別れだ。

190度を迎えるころ、パチパチと音がしてファーストクラックが始まる。そのときには、あまり水分は出ていない。本格的にハゼはじめると水気がドバーっと出てくる。このときの排気の水気は、さっきの水気と違い、なんか別の成分を伴っているような匂いだ。ファーストクラック時の水の出所は、最初の豆全体(主に表層?)の水気と違うのだろうか。

そして、パチパチという音が収束するとともに、面白いくらいに水気が出なくなる。
ちなみにセカンドクラックのときにはあんまり水気を感じないから、ファーストクラックが終わればだいたい水分は2〜3%くらいになってしまっているのだろう。

おそらく、最初の水抜きの段階では豆の中の水分はすべては抜けてない。ファーストクラック前後でちゃんと重量が変わるのが何よりの証拠だ。
よく諸先輩方が水抜きが大事というが、ファーストクラック時の水の抜けというのはどう捉えられているのだろうか。
ファーストクラックは、セカンド水抜きでもある、と思う。
水抜きに何分かける、という話をよく聞くが、ファーストクラックに何分かける、という話はあまり聞かない。
(注意:ファーストクラックからセカンドクラックまでの時間の間隔ではなく、ファーストクラックの始まりから終わりまでという意味)

あんまり意味ないのかなー。


コーヒーの生豆が持つ水分は、焙煎中に抜けていく。焙煎機の排気口から出て行くに違いないので、そこに手をかざせば、水がいつ、どれくらい抜けているのかわかるはず、という超小型焙煎機ならではのお話でした。
posted by ホゼ at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 焙煎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月20日

Roasting Department 始まります。

サンシャインステイトエスプレッソは、ホームロースティングへ。






2012年、ロースティングをスタートします。
サンシャインステイトエスプレッソが始まってから約2年。
カッピングにいくばくかの自信がついてきました。
いろいろなコーヒーとの出会いがありました。
たくさんの助言や教えをいただくことができました。
コーヒーを自由に楽しんでいると思えるようになりました。
そして、コーヒーを楽しむって何なのか、それを誰かに伝えて、一緒に楽しむことができるようになりました。

お待たせしました。やっと、スタートすることができます。

SSE Roasting Departmentをよろしくお願いいたします。

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posted by ホゼ at 13:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | 焙煎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月14日

未来の焙煎事情とは

あらかじめお断りしておきますが、今回のエントリはタワゴトのソシリを免れまいと思われます。それでもよろしければ読んでみてください。



ローストというのは、生の豆を飲むための豆にするため熱をかけることである。

ということを踏まえて、ロースティング事情を考えてみた。



今、スペシャルティコーヒーが日本でも市民権を得ようとしている。スターバックス(世界最大、日本では2番目に店舗数が多いコーヒーチェーンである)に行けば、国名だけでなく産地まで表記してあるコーヒー豆を販売していることに気づく。
伊達や酔狂で表記しているわけではない。消費者のニーズがそうさせているのである。それはつまり、消費者が「ただのグアテマラではなく、アンティグア産のグアテマラ」にプレミアムを支払うつもりがあるということだ。

さらに街のコーヒー専門店に行けば、もっとたくさんの情報が付記されたコーヒー豆を見ることができる。グアテマラ・アンティグア・サンタカリーナ農園などと書いてあるのがあるかも知れない。それは、アンティグアといういくつかの山を抱えるエリアの中にある、サンタカリーナ農園の豆であるということだ。そしてこれも同じように、消費者は「サンタカリーナ農園のものならば」喜んで余分にプレミアムを支払う準備があるということだ。

これらの豆はスペシャルティコーヒーと呼ばれる。そしてこれらスペシャルティコーヒーの味を判別するカッピングには、浅煎りの豆で抽出した液体を用いる。

カッピングではその豆が持つ素晴らしい酸を感じることができる。ありとあらゆるフルーツ、発酵など付加された風味も含め、これほど複雑で素晴らしい酸味を持っているのかと驚かされる。それは、イタリアンやフレンチローストまで豆を焼かないから保持し得る風味である。
そこで、少々危なっかしい表現だが、世界中でスペシャルティコーヒーは浅煎りで酸を感じるという公式を作り上げてしまっているきらいがある。もちろん、焦げる直前までローストしては酸味が減ってしまう(あるいはすっかり無くなってしまう)のは間違いない。できるだけ浅煎りで酸の損失が無い状態でと願うのは、素晴らしい酸を持つスペシャルティコーヒーを扱う人間なら当然のことだろう。



さて、話は変わって、ロースター界のロールスロイスと呼ばれる、プロバットである。
プロバットは素晴らしい(らしい。僕は使ったこと無いし、完全に伝聞です)。

焙煎機とはなんだろうかというと、冒頭の通り、生豆に熱をかける機械である。ガスコンロでギンナン煎りを使って焙煎するのと、プロバットで焙煎するのでは、過程と結果が違うだけで目的は同じである。
何が言いたいかと言うと、焙煎機は道具であって、何らかの結果を保証するものではないということだ。
イチローのバットを持てば誰だって200本安打できるか?と考えるとよくわかる。イチローはバットがいいから200本打てるが、バットが良くなくても180本くらいは打つんだろう。しかし僕らはイチローのバットを振ったところでメジャーリーグのピッチャーから一本だってヒットを打てるわけがない。
プロバットを使ってヒットを打てるのは、それなりの技術者がオペレーションするかなのだ。

「当店はプロバットで焙煎しております」だっておwww

ということであるが、それは今までの歴史を考えると仕方ない。
プロバットで焙煎することが最高の選択肢だったという時代が長かったからだ。それは何かと言うと、結果(出来上がった豆)を評価する共通語が無かったからだ。極端に言うと、COE以前は好き勝手に「これ最高」とか「ぜんぜんだめ」とかいい放題だったわけだ。
それがCOEでは「これは世界基準で良い豆と認定しました」となったわけで、その生豆を買って焙煎して「良い焙煎後の豆」にならなければそれは焙煎者の腕の問題ということになるわけだ。
つまり、一定の「正解」が提示されている状況で焙煎をしなきゃならんということである。
プロバットを使ったからって「正解」を出せるかどうかなんか保証されてないよね。手網焙煎で「正解」が出ちゃうかもしれないよね。



これらをあわせて考えると、ひとつの焙煎の未来が見えてくる。それは「焙煎技術の収束と多様化」である。



おっとここからがホゼのとんでも理論ですよ、準備はいい?




いまや焙煎の正解が世界中に提示されている。
これは生豆の正解が提示されているということと同義である。素晴らしい生の豆=素晴らしい焙煎後の豆、とならなければならないからだ。
そして生豆の正解とは、例えばCOEで提示されている。

すなわち、焙煎をするということは、ある一定の正解を目指すということなのだ。COEで1位を獲得した豆を焙煎したら、失敗してしまい、コマーシャルコーヒーより不味くなった、ということは可能性としてはあり得るが、その逆は無い。
最高の豆を焙煎したら、やはりそれは最高でなければならない。

ここに「焙煎技術の収束」がある。今、まさにその段階と言えるだろう。最高の生豆を最高の焙煎後の豆に変える方法を、世界中のロースターが探している。そしてその錬金術は、別々に発見したとしてもかなり似通った方法になることは間違いない。

誰もが正解に近い技術を獲得したらどうなるか。次に来るのは創造と工夫である。正解に甘んじない焙煎者は必ず、その次の段階を目指す。そこが「焙煎技術の多様化」である。従前のてんでばらばらの理論で多様化していた時代とは違う。同じメソッドを踏襲しつつ、オリジナルの何かを付加した焙煎方法で勝負する焙煎者がしのぎを削る時代が来る。

そのときの土俵はどこか。


僕は中煎り〜深煎りだと思う。今、普通に飲まれている深煎りとは全然考え方が違う深煎りの技術で、あっと驚くようなカップになるんじゃないか?そんな思いでワクワクしている。


望むべくは、そのときに僕もいちロースターとしてその中に身を投じていたいものだ。
posted by ホゼ at 12:53 | Comment(8) | TrackBack(0) | 焙煎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月30日

焙煎機がやってきたヤァ!ヤァ!ヤァ!

毎度毎度「焙煎したいなぁ」とコーヒーを飲みながらつぶやいていたらマスターが焙煎機を貸してくれた。無期限、賃料無しという破格の条件でありがとうございますすいません、なのだ。

実はマスターがずいぶん前に貰った(?)やつらしいのだが、焙煎機としての活躍は短く、引退後はオブジェとして長らく棚のテッペンで鎮座していたというヤツ。動くかなーとコンセントに挿したら「キーコー」と言いながらドラムは回ってくれた。こりゃ使えるぜということでお借りしてきた次第である。



というわけでウチの子となった焙煎機君。

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出してみると、ホコリが積もっているけど意外とキレイな感じである。磨けばすぐ使えそう。

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とりあえず掃除することにする。

まずはブラシ類を使ってゴシゴシする。ホコリを払うと汚れが見えてくる。次はそれをサンドペーパーで落としていく。
ホムセンに行って、電ドリの先にくわえるタイプのサンドペーパーを買ってきた。たったの800円で死ぬほどラクできるのでオススメ。


こーゆー細かいところは手だと疲れるばかりでぜんぜんキレイにならないんだけど、ドリルならラクちんだねぇ。

DSC09965.jpg


ススがついたバーナー部は、手作業で粗めのサンドペーパーでゴシゴシする。

DSC09966.jpg


こまかいところもブラシや電ドリ、手を総動員してキレイにした。ドラム内、排気口、豆の投入口や排出口もブラシで掃除。
あとでコーヒーを焙煎するわけだから、不衛生はいかんよね。


掃除すること半日で、こんなにキレイになりました!

DSC09977.jpg

ドラムの外装部分は磨き甲斐があったw


豆の投入口から中を見ると、ドラムが穴あきで直火式であることがわかる。

DSC09978.jpg

これはバーナー部から見たところ。

DSC09986.jpg

ドラムはチェーン駆動になっている。ずいぶんオーバースペックなチェーンだことw

DSC09990.jpg


製造元は松本製作所というところのよう。ググったけど詳細わからずです。
posted by ホゼ at 19:19 | Comment(10) | TrackBack(0) | 焙煎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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