2011年02月14日

反省しきり・・・

来月からヤンエグなサラリーマンから零細自営業者へ華麗に転身するホゼです。


それはそれとして(笑


◆     ◆     ◆




某社のエスプレッソマシンをいじいじしているのだが、どうにも抽出の条件が決まらないという問題を抱えていたわけ。

具体的に言うと、バスケットのサイズが小さくて粉が17グラムくらいしかドースできないのが一つめの問題。
そのせいで30ccくらいのエスプレッソを抽出しようとすると最後まで耐えられなくなり、シャバってしまうのだ。実際はスクリーンにタッチしないあたりでドースしているので15~16グラムくらいのドース量になっているので、更にシャバってしまっている。
もう一つは抽出時の最初のお湯のアタックが強すぎる。
湯温も高いのか焦げもあるし、アタックが強いせいでチャネルが出来ている。また、湯の出ているところが中心から若干ズレているため、お湯の通りが早めだったところと、後からお湯が通ったところに差がついてしまっている。




さてどうするか。

僕なりに改善した方法が以下の通り。

粉は17グラム以上ドースしよう。そしてスクリーンに当たらないようにタンピングは強め、そうすることでお湯のアタックを受けた表面が荒れるという現象も少し緩和されるだろう。
抽出量は20ccくらいで切るようにして、抽出の時間を25秒くらい取れるようなメッシュに調整しよう。


多少は改善されたんだけど。





東京で活躍されいてる知人のバリスタさんより、もっと良い方法を教わっちゃったわけ。

・・・もっと良い方法というのはちょっと表現が悪いな。
根本的に良いエスプレッソを抽出できるようになる方法と言うべきか。
とにかく、自分で考えた方法とはアプローチがまったく違い、そしてあきらかに優れた方法なわけだ。

抽出前のお湯だしを長くとってボイラーの温度を少し下げることで抽出時の圧力が下がり最初のお湯がマイルドに当たる。そしてボイラーの温度が低いことで抽出温も下がって抽出がゆっくりになり最後まで粉が耐える。





はっきり言って、目が覚めました。がっつり目が覚めました。



抽出者として対処方法が未熟であったことはもちろんだけど、マシンの構造や抽出の仕組みなど、それ以前に知らなければならないことが沢山あったわけだ。
お客さんに出す前の段階の話である。
これほど無知で勉強不足で経験不足で何も考えずに我流でおかしな方法で抽出しているのが露呈してしまった!!!

もちろん勉強したつもりだけど(そして今でもしているけど)、実際に使えない知識では無いも同然。
経験が浅いのに謙虚さが無い。自分のやり方以外のやり方を調べようとか、すぐ勉強しようとかせず、とりあえず自己流で対処するとかもうダメダメ。



つまるところ何が言いたいかというと・・・


僕がバリスタとして胸を張れるようになるって全然まだまだえらく先の話じゃん!遠っ!

優れた人の経験というのは千金の重みがある!




以上、二つです。

反省する意味もあり、記事にしてみました。


※これも正解じゃないし、何が正解かというのはわからないよね
※ほかにもいろんな要素がからんでますが、話を簡単にするため、設定などを少し簡略化してます
※今回の件でほんと自分が情けなくなった
posted by ホゼ at 19:11 | Comment(3) | TrackBack(0) | エスプレッソ技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月03日

デイヴィッド・ショーマー氏絶賛のスチームチップ

「この革新的なスチームチップを使ったら、今までヴィヴァーチェで作ったどのカプチーノより微細でシルキーなカプチーノフォームをつくることができたよ」
〜デイヴィッド・ショーマー〜


ep_tx_foamknife1_01.jpg


エスプレッソパーツからローンチされたこの全く新しい形状のスチームチップは、エスプレッソ界の大御所、デイヴィッド・ショーマー氏もとりこにしたようだ。

この変わった形のスチームチップの名前は「FORM KNIFE(フォームナイフ)」。エスプレッソパーツが日本のエスプレッソ界の草分けでもある齊藤 正二郎氏率いるエス・エス・アンド・ダブリューと共に開発したものだ単独で開発したものを販売している。エス・エス・アンド・ダブリューとはダブルトールを経営している会社である。


価格は70ドル。一般的なサードパーティ製のスチームチップより少しお高めであるが、デヴィッド・ショーマー氏絶賛のフォームが失敗なくできるのであれば、高くないだろう。
posted by ホゼ at 15:35 | Comment(6) | TrackBack(0) | エスプレッソ技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月26日

OLY vs. ATL Manual Brew Battle (オリンピア対アトランタ ハンドドリップ対決)

ブログでは紹介しなかったけど、この話がBarista Magazineのブログで報じられたとき、すごくわくわくしたのを覚えている。

Barista Magazineの記事


オリンピア対アトランタ ハンドドリップ対決

2011-mbb-jan-16.jpg


※マニュアルブリューイングをハンドドリップと訳すのは果たして正解かどうかは微妙だけど、日本ではハンドドリップという言い方のほうがピンと来そうなので、この表記を採用させていただきます。




ルールは簡単、「一番美味しく淹れたヤツは誰なんだ?」、それだけ。

「いかなる方法で抽出しても構いません。ジャッジは、カップに注がれた液体をあらゆる方向から審査します。ブラインドテストですので、絶対に公平です。競技者は同じコーヒーを使い、10分間の時間が与えられます」



一般的に、コーヒーがカップに至るまでの要素は、ざっくり言うと次の通りだ。

@生豆
A焙煎
B抽出方法
C抽出者の技術

例えば、WBCで言えば、Bだけ固定してある形である。
ローストマスターズで言えば、BとCを固定しているわけだ。
COEであれば、ABCが固定されているということになる。

この大会は、@とAは固定、Bが半分固定である。半分というのは、"Not automatically"であるからである。

この写真を見てもらいたい。

2011-olyvsatlmbb23.jpg

後ろにエスプレッソマシンが鎮座しているその手前で、二人の競技者が真剣な面持ちでドリップしている。一人はネル、一人は、なんだろう?紙に工夫がありそうなペーパードリップだ。

僕は、from seed to cupのあらゆる段階の中で、豆のポテンシャルを最も減ずるのは抽出者の技術だと思っている。そして、豆のポテンシャルを選択することはできても付加することができないのも、抽出者の特性だと思う。
しかし、スキルの高いプロの抽出者には、一定のレベルが存在する。そういう抽出者ばかりの場合は、同じ豆なら誰が淹れても「それなりに美味しい」ものである。つまり、抽出の段階で豆を「ダメにしてしまう」ことがほとんど無いわけだ。
例えば、WBCのルールに「大会が用意する豆を使う」とあれば、ほとんどの出場者は困惑するだろう。Bが固定してある場合、ある一定のレベルの競技者同士では有意な差がつかないかも知れない。

そこで、Bを「手作業の方法で」としたこの大会は、非常に面白いものになっただろう。

競技者の職人魂に火がついた、ってとこじゃないだろうか(笑


大会の様子は、こちらをご覧いただきたい。
BATDORF AND BRONSON COFFEE ROASTERS


ハンドドリップ、この職人的な抽出方法はアツい!
抽出方法の選択、いや器具の選択、いやいや器具を自分で考案することすら可能であり、カップが抽出者の技術に大きく左右されるという前時代的で古臭くてそれでいて最先端で、非生産的で手間がかかってそれだからこそたまらなく魅力的なハンドドリップ!

このブログは「ビバ!ロングブラック!」というブログであるが、今回だけはコレで行こう!


ビバ!ハンドドリップ!
posted by ホゼ at 10:11 | Comment(4) | TrackBack(0) | エスプレッソ技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月24日

ボトムレスポルタフィルタ

アメリカのバリスタ発なのかな、ボトムレスポルタフィルタという文化は。

nakedportafilter_extraction3.jpg

※espresso partsさんからお借りしました。
※いつもお世話になってます。


抽出の状態を知るために、余ってるポルタフィルタをボトムレス化しようかなと思ったのがきっかけで、ボトムレスにするメリットデメリットを考えてみた。

メリット
・抽出の状態が確認できる
・ポルタフィルタ底部やスパウトに触れないため、バスケット以降のフレーバーの変化が無い
・見た目がかっこいい(特に出始めのジワっと来るところなんかかっこいいよね)

デメリット
・空気に触れる面積の増大→酸化、液温の低下、フレーバーの変化(主にアロマの減少)
・抽出時に周りを汚す(結構飛び散ったりします)
・ダブルしか取れない(シングルのバスケットにするという手もありますが・・・)


ボトムレス、フレーバー的にも見た目的にも一長一短だねえ。
もっといろんなメリット・デメリットがあると思うけど、とりあえずざっくり考えただけでもボトムレス万能!というわけでもないし、ボトムレスにしなきゃダメ!ってことでもないようだ。
posted by ホゼ at 10:47 | Comment(6) | TrackBack(0) | エスプレッソ技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月16日

足し算の生産者、引き算の抽出者。

From seed to cupと簡単に言うが、種からカップまではずいぶんたくさんの段階に分けられ、たくさんの人が関与している。

FromBeanToBrew.jpg

非常にざっくりと言うと、種からカップまでは次の段階に分けられる。

<生産>
畑を作り、種をまき、木を育て、チェリーを収穫する。

<精製>
収穫したチェリーを、輸送に適した形に加工する。

<保管、輸送>
一時的に保管する、必要なときに必要な量を生産国から消費国へ輸送する。

<焙煎>
生豆を、飲用に適した形に加工する。

<抽出>
焙煎されたコーヒー豆を、カップに抽出する。


このいくつかの段階を、一つの会社や団体がまとめて行う場合もあるし、一つの段階にいくつもの会社や団体が関与する場合もある。
しかし、分解すれば大体このような段階を経て、種がカップに化けるというのは間違いではないだろう。


では、コーヒー豆の成分について、誰が足し算をして誰が引き算をするか考えてみる。
この足し引きは、次の段階にバトンを渡すまでに、成分を増やすか減らすかというところに着目して考えることにする。


<生産者>は足し算しかしないのは間違いない。なにしろゼロからの出発である。雑味が無い豆を作るってのは雑味を引き算するのではないかという意見も出そうだが、雑味があるところから除去するわけではなく、雑味を生成しないように育てるわけだから、足し算だろう。
種をまくところから始まって、チェリーに育つまでにいかに必要な風味をたくさん入れるか、それが<生産者>である。
精製者に渡すまでの間、せっせとチェリーに成分を増やし続けるのである。


<精製者>はチェリーを丸裸にして、中のタネを取り出すのが仕事である。しかし、これは物理的には引き算であるものの、風味については、やはり足し算である。
摘んだチェリーのままでは保管に適さない。保管に適さなければ輸送ができない。つまり、すごく近所にしか売れないわけで、チェリーは摘んだら精製をしなければならない。昔の人は単に保管するため、輸送するための前処理として必要にせまられて精製していたのだろう。
しかし、保管に適する形にする段階で、さまざまな工夫が生まれ、もしかしたら瓢箪から駒みたいな話かも知れないが、とにかくコーヒーの風味を増すことに成功しているのだ。その証拠に、精製方法が違えば風味が違ってくる。それは精製方法によって豆の成分のうちどの部分を減ずるかが違うわけではなく、どういう風味を付加するかの違いである。
輸送・保管者に渡すまでに、チェリーの外側をひっぺがしつつ、中身に風味を付加しながら保管に適した形へ変えているわけだ。


<輸送・保管者>から後の段階では、引き算が出てくる。質量保存の法則からして、何かが増えるということは、同時に何かが減っているということである。また、化学的な反応として、外的な影響は、何がしかの変化を与えるものである。
バキュームパックで輸送するにしても、中に酸素がゼロになるわけではない。酸素は一般的に考えられるより、物質に対する影響が強い。つまり酸化させてしまう。また、熱というのはやっかいで、密閉された空間でも熱がかかるだけで物質は変化してしまうことがある。
保管や輸送中に、コーヒー豆に対して少なからず外界からの影響があるのは避けられない。そのとき、良い影響がある場合も、悪い影響がある場合も、足し算である。できれば足し算の時によいものだけ足したいところだが、そうは問屋が卸さず、悪い成分も生成されてしまうこともある。しかしどの道足し算であることに違いはない。引き算になる場合は、外気に触れていて風味成分が空気中に出て行く場合であろう。
いい悪いというのは置いといて、ほとんど保管・輸送中に現象として起こりうるのは、外気との接触による成分の変化と、熱による変化である。しかし、この段階ではむしろ、足し引きをできるだけ発生させないで次の焙煎者へ渡すというのが基本である。


<焙煎者>のところでは、足し算も引き算も活発である。まず焙煎することでコーヒー豆の本来持つ成分が熱により変化する。これは、もともと持っていた成分が減り、新しい成分が増えるということだ。しかし、主に酸味を構成する成分が熱がかかり続けることで減っていき、苦味成分は逆に生成されていくわけで、焙煎の度合いを強めることで何が減り、何が増えるかというのは、焙煎者は経験則でわかっていることが多い。
しかしながら、コーヒーの風味成分のうち、焙煎で失われるものよりも作られるものが圧倒的に多い。なぜなら、焙煎しないとコーヒーとして飲用に適した形にならないからだ。必須の工程である以上、獲得できる成分のほうが、失われる成分より重要であるということになる。足し引きはあろうが、足し算のほうが多め、ってことである。
捨てるところは捨て、得るところを得ながら、生豆を飲用に適した形へ変える。つまり次の抽出者へ、生だった豆から取捨選択しながら、風味成分を足しつつ、バトンを渡すわけだ。


さて、最後の<抽出者>である。彼(彼女)だけが、大きく引き算過多となる唯一の存在である。焙煎されたコーヒー豆を挽く。この段階から、空気と触れた豆はどんどん風味成分を空気中に放出していく。酸化することで物性が変化して良い成分を生成したりすることもあるかも知れないが、普通、酸化するのは大抵風味を損なうことが多い。
抽出するにはお湯を使うことが多い。伝統的な、お湯に漬けると成分が出る的な話だ。洗濯も同じ原理である。さて、コーヒー豆の成分に着目すると、抽出時に、増えるか減るか? カップにどれだけのものが入るかという話だと、極端に減らしていることになる。つまり、コーヒーの成分のうち、カップに落ちない部分があるということだ。これは、どんなにお湯を通したコーヒー豆でも、白い紙を当てると紙に色がつくことからわかる。まだ成分が残っているのだ。
次の段階、<飲む人>へバトンを渡すときに、思いっきり引き算して渡しているってわけ。




From seed to cupの最後の段階、抽出だけが引き算である。成分の100%をカップに抽出することは無理だ。
生産者が、焙煎者が意図して付加した成分が、カップに落ちないかもしれない。やっとこさ焙煎までたどり着いた豆のポテンシャルを減ずるのが抽出者であるということだ。
それを意識すると『バリスタたるもの、常に最高のカップをお客様へ提供するべし(キリッ』などと思い上がるのはよしとこうと思う。僕ができるのは、僕のところまでやってきてくれた豆をどうやってお客様(あるいは家族、あるいは自分)に、僕の前の段階までの人達の想いや苦労を台無しにすることなく楽しんでもらえるか、ってことなんだなと思う。
最高のカップになるかどうかは、バトンが回ってきた段階ですでに決まっている。もし、最高のカップになる豆のバトンを渡してもらったとしたら、それを最高のカップにできるかどうかは、抽出者の腕にかかっている。そして、大抵、台無しにしているんだということを肝に銘じなければならない。



『バリスタたるもの、せっかく良い豆を届けていただいたのだから、その魅力をなるべく損なうことなく、できるだけお客様へお伝えしたいです(汗』



このくらいがちょうどいい。
posted by ホゼ at 12:43 | Comment(2) | TrackBack(0) | エスプレッソ技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年10月29日

ロングブラックとアメリカーノ

コーヒー業界では今、ロングブラックが大ブームです(ウソ)


ロングブラックとアメリカーノの違いって何?というのをwikipedia英語版から拾ってみます。(超訳)


Long black
ロングブラックは、主にオーストラリアやニュージーランドで形成されたコーヒーの飲み方の一つです。
しかし現代では、それ以外の国でも飲まれるようになり、特にロンドンでは一般的なスタイルの一つになりつつあります。
お湯を注いだカップを用意し、そこにダブルショットのエスプレッソを注ぎます。
アメリカーノとよく似てますが、アメリカーノはショットを落としたカップにお湯を注ぐところが違います。
後からエスプレッソを落とすことで、クレマが保持され、フレーバーをより強く感じることができます。
ちなみにShort blackショートブラックは、オーストラリアでは普通のエスプレッソのことを意味します。

Americano
アメリカーノは、エスプレッソを落としたカップにお湯を足したものです。歴史は第二次大戦中に遡り、ヨーロッパにあった米軍人がエスプレッソを普段飲んでいる濃度にしたいとお湯を注したことに由来します。
レシピは、シングルかダブルのエスプレッソに、30から470ccのお湯を足します。
エスプレッソバーで「普通のコーヒー」を欲しがるお客様へ、エスプレッソを薄めて普通のコーヒーと同じ濃度やサイズにするのが主目的ですが、中には素晴らしいシングルオリジンの豆を最高の技術で抽出したエスプレッソを味わうために1:1程度にお湯を減らしたアメリカーノを提供する場合もあります。


日本ではアメリカーノという名称が一般的である。日本最大手(世界でも最大手)のエスプレッソコーヒーチェーンであるスターバックスでこのレシピのことをアメリカーノと表現しているので、見たことがある、聞いたことがあるという人も多いと思う。

ロングブラック、とわざわざ表記しているカフェは、北米系じゃないですよ、イタリア系でもないですよ、オセアニア系ですよ、という意思表示なのかも知れない。


ちなみに、ロングブラックと並び、オーストラリア・ニュージーランドの特別なレシピにフラットホワイトがある。
ロングブラックと表示している店のメニューを見かけたら、フラットホワイトという名前を探して欲しい。きっとあるはずだ。このふたつのメニューはオセアニアンスタイルのカフェの定番である。

そして、サンシャインステイトエスプレッソは、日本のロングブラック文化を猛烈に応援しています。もっともっと広まれロングブラックの輪!!
posted by ホゼ at 10:13 | Comment(3) | TrackBack(0) | エスプレッソ技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年10月12日

brixとエスプレッソ

brixという単位がある。

Brix(ブリックス)は、溶液中の固形分濃度を表す目盛名。°Bx でも表す。単位は「%」または「度」。 主に食品産業,ワイン、精糖、果実農業などで、ショ糖濃度(糖度)を表す際に用いられる。 概ねの定義は、「屈折率を、20℃のショ糖溶液の重量百分率濃度(W/W%)に換算した目盛(スケール)」である。 重量百分率30%のショ糖溶液(100グラムの溶液中に30グラムのショ糖(水は70グラム))では、Brix30%となる。 一般的には、Brix値は、ショ糖溶液濃度(糖度)として認識される。しかし、ショ糖以外の固形成分を含む溶液では、Brix値は固形成分濃度の目安になるが、ショ糖以外の成分も屈折作用を持つため、そのままショ糖濃度となるわけではないことに注意が必要である。 ジュースや果汁の可溶固形成分は、ショ糖の割合が非常に高いため、Brix値をそのままショ糖濃度(糖度)としても問題ないと考えられる。

wikipedia


果物やジュースなど甘み以外に溶けている固形成分があんまり多くなければ、brixの値はほぼ甘さに比例すると言って良い。

んで、これとエスプレッソの関係って?




その前に、果物のbrixはどのくらいかと言うと、オレンジ類は10くらい、スイカで11くらい、ちょっと甘い果物だと思う梨で12、けっこう甘い部類な桃で13、食べると手がベタベタになる甘い果物の代表、葡萄なんかは17とかだそうだ。
ちなみに日本で古来より食されている果物である柿、これは生の状態で16以上あり、干し柿になると40を超えるという。

さて、日本ではこの干し柿の甘さが、味覚のひとつの基準となってきた。いわく、菓子(和菓子)は干し柿より甘くしてはいけない、のである。これは、むかしの日本人の普遍的な味覚と言ってよいだろう。もちろん、現代の日本人にも当てはまるのではないだろうか。




本題である。エスプレッソのbrixはいくつくらいなんだろうか。ゼロである。砂糖入れなければ、だ。
ではスティックシュガーを一本入れたらいくつになる? これは計算で簡単に出せる。
エスプレッソ30ccにスティックシュガー3gを入れると、brix10%になる。ほほう、スイカと同じくらいの甘さである。意外や意外、もっと甘いのかと思えばそうでもない。ちなみにイチゴやグレープフルーツも同じ程度、brix10%くらいのもんだ。これらの果物は「水っぽさ」「酸味」「苦味」などがあるため、甘くて甘くて仕方ない、という味には感じないだろう。エスプレッソにスティックシュガーを1本溶かしたところで、その他のフレーバー(酸味、苦味など)あるために甘さをそれほど強烈に感じるわけではない。意外に「甘くない」のである。

フレーバードラテなんかはどのくらいなのだろうか。
モナンのシロップを使ったレシピを見てみよう。
季節柄、チェスナッツのシロップを使ったレシピで計算してみる。
 ・チェスナッツシロップ20cc
 ・エスプレッソ30cc
 ・ミルク100cc
これらを混ぜるとどうなるか。
ちなみにチェスナッツのbrixは59である。
20ccのシロップを130ccで割るわけだから、0.154倍になるわけで、brixはおよそ9、ミルクが持つ甘さがあるため、これまた糖度で言えばおそらく10くらいなものだろう。
これまた意外や意外である。

飲むもの、としては、brixは10前後がよろしいのだろうか。確かに100%オレンジジュースというのは甘さがそれほどキツくなく、飲み物として歓迎できるが、メロン100%ジュースと言われると、それは飲み物ではなくデザートではないか、と思ってしまう。



さて、アイスクリームの糖度はというと30前後、甘い甘いと思うアイスクリームも干し柿には敵わないのか。干し柿恐るべし。
で、150gのアイス(1カップ分くらい)にエスプレッソをかけたアフォガードは、糖度25もあるデザートというわけ。普段クチにする和菓子がこのくらいの甘さなのかな。というと、甘さに洋の東西の差はあまり無いってわけか。



というわけで、brixという見かたでエスプレッソドリンクやデザートを見てみると、適当なシロップの量や砂糖の量が見えてくる、という話でした。

僕の移動カフェのメニューも、もう一度ちゃんと計算して、ドリンクはbrix10前後に、デザートはbrix20~30になるように見直さなきゃ!
posted by ホゼ at 22:32 | Comment(2) | TrackBack(0) | エスプレッソ技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年10月01日

18gと13gでエスプレッソを抽出して検証してみた

昨日、タイトル通り、エスプレッソを18gと13gのドース量で抽出して、味の違いなどを検証してみた。
逐一ツイートしたので、一連の流れをtogetterでアーカイブした。
http://togetter.com/li/55223

ブログの記事にするの面倒だなと思ったけど、一応、ここでも見れたほうがいいかなということで、以下、コピペしときます。

※以下ツイートの引用は下から上へ読んでください。


*
ep_normal.gifespressoizer
@yager51 おお、勉強になります! もっと勉強しなきゃですねー。エスプレッソも科学して理屈を知って抽出したいと思ってます。 ところでストラーダ、SCAJで見ましたが、あれは優れものですねえ。
espressoizer
2010-09-30 23:07:22
*
image_normal.jpgyager51
@espressoizer エスプレッソは結局は圧力鍋です。圧が掛かって その気圧のお陰で短時間で浸透を可能にします。 そこにやっと化学が入り ストラーダの様なヘッドに圧ゲージが付いて 粉への圧を測る事に成ります。 まあ 難しい話はこんなところで!
yager51
2010-09-30 22:52:10
*
ep_normal.gifespressoizer
@yager51 なるほどですねー。ドリップ的というのはわかりやすいですね。実際、味の薄さが顕著でした。圧をかけて抽出している感が希薄に思えました。そういうことなんですね。
espressoizer
2010-09-30 22:40:56
*
ep_normal.gifespressoizer
というわけで、ドース量によるエスプレッソのフレーバーの違いの検証でした〜
espressoizer
2010-09-30 22:38:45
*
ep_normal.gifespressoizer
完全に冷めたところで再確認。 13gも酸はありますが、痩せた、そっけのない酸という感じです。18gのほうは、冷めても複雑でふくよかな酸です。13g、質感が悪いです。 #espressoJP
espressoizer
2010-09-30 22:38:08
*
image_normal.jpgyager51
@espressoizer 粉がスタンダードラインに来なければ 圧が掛からないんです、故に ドリップ的なものに。 メーター圧が9でも 粉への影響は1気圧です。
yager51
2010-09-30 22:35:39
*
ep_normal.gifespressoizer
@yager51 ぜんぜん来ないですw タンピングの強さは同じで、見た目で半分くらいに見えるほど、粉の量が違います。 そして抽出時間が7秒違い。
espressoizer
2010-09-30 22:32:16
*
ep_normal.gifespressoizer
もっといろいろな角度から検証すべきですが、とりあえず、ドース量が減ると主にフレーバーのうち酸や質感に大きな影響があるなあという感じです。もちろん他にも影響はありますが。 #espressoJP
espressoizer
2010-09-30 22:30:32
*
ep_normal.gifespressoizer
冷めて、18gのほうには口に入れたときに舌にまとわりつくような粘度を感じますが、13gはサラっとしておりまるで水のようです。その分、18gでは質感を感じることができますが、13gはただ水を含んだような質感の無さです。 #espressoJP
espressoizer
2010-09-30 22:28:17
*
image_normal.jpgyager51
5g少なくして スタンダードラインまで粉がくるんですか? でも 有意義な実験ですね。“@espressoizer: 明らかに18gの味は強く、13gの味は弱いです。特に、13gには酸が欠落していると感じます。 #espressoJP”
yager51
2010-09-30 22:26:03
*
ep_normal.gifespressoizer
13gのほうにはややburntな感じがあります。ほかにフレーバーが出ないためにそれが目立つというほうが良いのか。 #espressoJP
espressoizer
2010-09-30 22:25:54
*
ep_normal.gifespressoizer
冷めてきて、18gには酸が心地よく残りますが、13gにはナッツっぽい感じがありますが味がしなくなり、水っぽくなってしまいました。 #espressoJP
espressoizer
2010-09-30 22:23:50
*
ep_normal.gifespressoizer
明らかに18gの味は強く、13gの味は弱いです。特に、13gには酸が欠落していると感じます。 #espressoJP
espressoizer
2010-09-30 22:18:51
*
ep_normal.gifespressoizer
18gにはダークチョコ、チェリー、ワインのようなフレーバーを感じますが、13gでは先にロースティッドナッツのようなフレーバーが来て、ススけた味が強く、チェリーやワインは気をつけないと感じるのが難しいです。 #espressoJP
espressoizer
2010-09-30 22:17:32
*
ep_normal.gifespressoizer
アロマは、どちらも同じような出方ですが、明らかに18gのほうがフローラルが強く出てます。 #espressoJP
espressoizer
2010-09-30 22:14:17
*
ep_normal.gifespressoizer
写真撮るまでに時間が経っててクレマが薄いですが。
espressoizer
2010-09-30 22:13:07
*
ep_normal.gifespressoizer
量は1オンス出してみた #espressoJP http://twitpic.com/2tc1cp
170202841.jpg
espressoizer
2010-09-30 22:12:39
*
ep_normal.gifespressoizer
ブラジルのパルプトナチュラル。マメの量の違いがどのような味の違いになるのか。 #espressoJP
espressoizer
2010-09-30 22:09:41
*
ep_normal.gifespressoizer
同じメッシュで18gと13gでエスプレッソを抽出してみた。 #espressoJP
espressoizer
2010-09-30 22:05:18


posted by ホゼ at 14:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | エスプレッソ技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月18日

コーヒー豆のストーリー

サンシャインステイトエスプレッソは移動型のグルメエスプレッソバーである。
メインとなる販売品目はエスプレッソ及びエスプレッソベースのドリンクである。
そしてそのエスプレッソの素となるコーヒー豆はシングルオリジン(単一産地)のスペシャルティグレードのものを週替わりで使用している。

今週の豆は何を使うか、というのは悩みどころである。良い豆を飲んでもらいたいというのはもちろんであるが、いつも同じベクトルの豆ではつまらないので、前回とは性格の違う豆を使いたいし、天気や人出の予想から売れそうなメニューにマッチする豆を使おうと考え、商売であるからしてCOEなど高価な豆を利益を削って売る日もあれば、美味しいけど安い豆を探して売って利益を確保しなきゃなーというときもある。いろんな要素がからみあってその週の豆を決定しているわけだ。



先週土曜のいつもの牛久駅西口出店、日曜の牛久駅東口イベント出店とメキシコの豆を使用した。

生産国:メキシコ
生産地:チアバス州
生産者:マヤビニック協同組合
認証:フェアトレード
特徴:慶応大学フェアトレードプロジェクトが支援、有機栽培豆

店頭のブラックボードにもこのような内容を書き、さらに「マヤ系先住民を応援しています」とアピールした。
足を止めて説明書きを読む人、マヤビニックの話に耳を傾けてくれる人、生産者を応援したいからと購入してくれる人、更には「がんばってください」と声をかけてくれる人。ストーリーがあり、興味を引きやすい豆である。だから、売りやすい。
こういう豆は、お客さんのスイッチがON/OFFでわかりやすい。フェアトレードや生産地の応援という要素にスイッチが入る人は、コーヒーが好きだろうが嫌いだろうがスイッチが入る。

この豆は、カッピングでは特別に高得点というわけではない(スペシャルティグレードであることには間違いないが)。
やはり、COE入賞豆などと比較すると香味が弱いし、クリーンカップも劣ると思う。それでも、ストーリーがあれば興味を引くし、クオリティに対して少々高値でも購入する動機付けになる。そして何よりも、社会貢献しているのだという気分で飲めば、実際に舌で感じるよりも美味しく感じるのは間違いないだろう。



今までサンシャインステイトエスプレッソでは、さまざまな生産地、さまざまな特徴、さまざまな認証を取った豆を扱ってきた。約半年の間に、15種類ほど使っただろうか。その中には、今回のメキシコのようにお客さんにウケが良かったものもあったし、全然興味を引けなかったものもあった。

例えば、コスタリカの豆だ。

生産国:コスタリカ
生産地:タラス地区
マイクロミル:ラ・カンデリージャ
認証:特に無し
特徴:環境汚染を防ぐためフーリーウォッシュドを廃止。コスタリカは品質向上のためアラビカ以外の植え付けを禁止、など

この豆はとても美味しく、カッピング時にも良い点を付けた。しかし、コスタリカという国自体が日本ではポピュラーではなく、コスタリカの豆も日本での消費量が多くないためメジャーな産地とは言えない。そしてお客さんに説明するときに、困ってしまった。国を上げて環境保護に力を入れているのだが、レインフォレストアライアンス等の認証を取っているわけでもないし、アラビカ以外の植え付けが禁止といってもブランド産地でもない。結局、お客さんにこの豆を飲むのと同時にイメージしてもらいたいビジョンが無いまま販売当日となってしまった。
もちろん、コーヒーとして美味しいのは間違いないので、飲んでもらったお客さんには「美味しい」という声をたくさんいただいたのだが、飲もうかどうしようかという人に対しての購入の動機付けになるものが無い。すなわち、食いつきが悪いのだ。
せっかく良い豆なのに、販売するためのイメージが作り上げられず、豆そのものの魅力(すなわちフレーバー)に頼らざるを得ない販売方法となってしまった。
「この豆はチョコやナッツのフレーバーがラテにマッチします。とても美味しいですよ」
てなものだ。
非常に残念である。これでは飲んでもらう人にも、その美味しさのバックボーンやそこから広がるイメージで付加されるべき、エクストラの価値観やワクワクするような気持ちなどが足されない。コーヒーの美味しさだけである。



何かを食べたり飲んだりするというのは、その雰囲気も楽しむということだ。
スターバックスに行って、「ベンティアドショットヘーゼルナッツバニラエキストラホイップチョコレートクリームフラペチーノ」と注文する人は、その注文自体が楽しいエクスペリエンスなのだ。
そして店員が差し出すそのフラペチーノをソファ席で満足そうにすする。スターバックスならではの体験だ。そのフラペチーノの味は最高だろうか?いや、もっと美味しいフラペチーノも世の中にはあるだろう。しかし長ったらしい名前の注文をしてソファでくつろげるのはスターバックスだけだ。

同じように、サンシャインステイトエスプレッソでも、購入のエクスペリエンスを大事にしたい。そのコーヒーから透けて見える産地の情報、その国で何があったのか、コーヒー豆はどこで誰が作っているのか、そのドラマを付加してコーヒーを味わってもらうことで、より美味しさを感じてもらいたいのだ。
コスタリカの場合は完敗であった。メキシコの場合は圧勝だ。しかしメキシコの場合にはすでに作られたストーリーを紹介しただけに過ぎない。コスタリカには定型的な、既に作られたストーリーが無く、僕がストーリーを作り上げられなかったわけだ。僕が苦労して毎週メニューを作り変えるのも、毎週使用する豆が変わるからだ。そして豆が変われば、当たり前だがストーリーが違う。先週は内戦で無政府状態でもコーヒー豆を作る小農家の集まる村というけなげな産地を紹介したかも知れないが、今週は国を上げて品種改良に取り組み素晴らしい豆を徹底した管理で輸出する産地の豆を使うのだ。それらに同じストーリーをくっつけて売るわけにはいかない。



当たり前のことだが、コーヒーは嗜好品である。嗜好品なら、嗜好品らしく販売たい。僕の抽出するコーヒーを飲むんなら、ストーリーを感じて飲んでもらいたい。
posted by ホゼ at 14:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | エスプレッソ技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月30日

ジャパンバリスタチャンピオンシップ2010アップデートなど<速報>

昨日、7月29日から予選が始まった2010年のジャパンバリスタチャンピオンシップに関して、今回の大会でアップデートされた部分をお知らせする。

※非公式なコメント、未確定な情報も含まれているのでご注意。もちろん情報は見たこと聞いた話をそのまま載せているけど、言った人の言い間違いや僕の聞き間違い、見間違いもあるかもだから、本情報の正誤については責任持てません悪しからず

前回までの記事
バリスタチャンピオンシップパーフェクト(かも)ガイド! 〜概要編〜
バリスタチャンピオンシップパーフェクト(かも)ガイド! 〜出場するには編〜
バリスタチャンピオンシップパーフェクト(かも)ガイド! 〜出場しないけど興味アリ編〜
でお伝えした内容に既に変更された情報が含まれていたたんで、訂正します〜



「今回から撮影が自由になりました」
シャッター音やフラッシュなど、競技者の邪魔をしてしまわないように配慮して、床の観覧席と競技エリアの区切り線を越えないように撮影できるようになった。
前回まで、競技者の関係者のみ、その関係する競技者のみ撮影可というルールだったけど、今年は誰の撮影をしても大丈夫だそうだ。

「会場の向きが逆です」
東京会場に限りだけど、前回までと競技エリアと観客席の位置関係が180度変わった。今まで競技エリアの後ろにシンクやらなんやらがあったため、競技中に器具を洗ったりする音や、人通りがあったりと、競技者に良くない影響があったように思われたんだけど、今回は向きが逆になったため、後ろに誰もいない。見えるのは窓だけとスッキリ。競技者のパフォーマンスに良い影響がある変更だと思う。

実際の会場の写真。奥の2台のマシンが並んでいるところが競技エリア、そして撮影している場所の後ろがシンク(見えないけど)。

137077548.jpg

「JBC予選が5会場へ拡大」
次回、2011年のバリスタチャンピオンシップから、予選を5会場に拡大するという案があるそうだ。
南から、北九州、大阪、名古屋、東京、札幌あるいは仙台?ということになるかも。
残念ながらつくば会場は想定されていない。
ジャッジの人数が充実してきて、尚且つジャッジが地理的にバラけたということで、こんなハナシになってきたとのこと。
出場者には朗報だねえ。



というわけで駆け足で変更点などをお知らせ〜
本日もJBC東京予選二日目が行われており、明後日8/1まで東京会場での予選が続く。
その後大阪へ会場を移し、さらに4日間、合計8日間の予選が160名の出場で競われる。
過去の記事とこの最新情報を読んで、会場でバリスタを応援しよう!
posted by ホゼ at 13:19 | Comment(0) | TrackBack(0) | エスプレッソ技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月28日

バリスタチャンピオンシップパーフェクト(かも)ガイド! 〜出場しないけど興味アリ編〜

バリスタチャンピオンシップパーフェクト(かも)ガイド! 〜出場しないけど興味アリ編〜

さてさて、前回までで、出場への道のりと勝ったらどうなるというハナシをしたんだけど、「まだまだ出場はしないよ。でも興味あるんだよねー」というアナタのために、観戦ガイドをお送りする。今年のJBCにはまだ間に合うので、これを読んだら是非観戦してもらいたい。

例によって、WBC編とJBC編に分けて説明する。


[WBC]
現地に行って、見本市のチケットを買えば会場内でやってる。次回はコロンビアだからちょっと遠いけど頑張って見に行ってください。


[JBC]
準決勝、決勝は前にも書いたけどSCAJの見本市の中で開催される。ただし、準決勝と決勝は別の日になるので、どちらも見たい場合は二日間来場する必要がある。ちなみに今年の予定は、東京ビッグサイトにて準決勝が9月22日、決勝が9月23日である。
見本市内でやっているため観客もそれなりに多いし、競技会場の配置などの関係もあって、選手のすぐ近くで見れるわけではないのだが、手元をカメラで撮ってでかいスクリーンに映しているので、必ずしも最前列かぶりつきでなくても良いだろう。立ち見でも観戦する分には問題ないであろうと思う。
カメラ、ビデオは撮り放題である。その映像を商用に使ったりするのはもちろん問題があるので私的使用に限るという条件はあるだろうが、観客席からの場合は、特に撮影を制限されることは無い。ただし、選手のパフォーマンスに影響するような行動は控えよう。
準決勝では16名の競技が、決勝では8名の競技を観覧できる。お得なのは16名見れる準決勝だが、決勝では誰が優勝かその場でわかるというメリットもあり、どちらを見に行くべきかは個々にお任せする。もちろん準決勝→決勝と見たほうが面白いだろうね。

「決勝に残れないかも知れないけど、近くのカフェのバリスタが出るんだよね、応援したいんだけど」というような場合、あるいは「決勝を見に行けないけど、じかに選手の競技を見たい」というような場合はどうするか。
もちろん予選を見に行くのだ。
予選は東京と大阪で行われる。日程は、東京が東京タワーのふもとにあるJ.C.ビルディングにて7月29日から8月1日まで各日20名、大阪がキャリナリー製菓調理・大阪校にて8月5日から8月8日までこれまた各日20名である。
自分が応援したい人が出る日や都合のいい日に直接会場に出向き、入り口の係の人に「観覧希望です」と言えば入れてくれると思う。おとなしく後ろの方で観覧しよう。
僕は東京会場しか行ったことなくて、大阪会場は写真でしか見たことないのだが、大阪のほうが少し広いように思う。しかしどちらにしろ、そんなにだだっぴろいところではないし、出場する選手たちが沢山いるしサポートする人も沢山いるし、結構ギュウギュウなので観覧するだけという場合はできるだけ出場者の迷惑にならないようにしよう。
そして予選会場では写真撮影、ビデオ撮影が禁止であることも注意。関係者のみ、自分の関係する選手を撮影するのだけが許されている。これ大事。ダメなもんはダメです。何を撮影していいか、だめなのかはよく係の人に聞きましょう。



もうひとつ、バリスタチャンピオンシップを間近で見る方法がある。それはボランティアである。
こういう申し込み用紙があるので、記入してファックスしよう。(今回の大会についてまだ募集があるかどうかは、大会事務局なりに聞いてください)
採用される基準は、
予選・決勝とも全日出れる>予選と決勝どちらも全日ではないが出れる>予選あるいは決勝のどちらかだけ出れる
ということらしい。
もちろんボランティアはボランティアなわけで自発的な参加であるから、どれかの日の午前だけ、とかいう指定も可能である。採用されるかどうかはわからないけど。
ボランティアであれば、観客と違って舞台裏から見ることができるし、大会に参加することで何かしら得ることもあるだろうから、時間に余裕があればボランティアしてみるのもいいかも知れない。




というわけで、3回にわたりバリスタチャンピオンシップについて説明したのだが、もっと詳しく知りたいという人はSCAJ公式サイトを見ると、たいていの情報は掲載されてます。そちらをご覧あれ。
また、個人でもSCAJの会員になれるので、バリスタに興味がある人で、今後大会に出たり勉強したりしたいよ、という人は個人会員になっちゃうのもいいかもね。




いよいよ明日7月29日から、僕もサポートとして参加するジャパンバリスタチャンピオンシップが始まりますよ〜!今年のトレンドは?優勝は誰? 楽しみで楽しみで、ドキがムネムネ!!
posted by ホゼ at 12:25 | Comment(1) | TrackBack(0) | エスプレッソ技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月26日

バリスタチャンピオンシップパーフェクト(かも)ガイド! 〜出場するには編〜

バリスタチャンピオンシップパーフェクト(かも)ガイド! 〜出場するには編〜


では、バリスタチャンピオンシップに出場するにはどうしたらいいんだろう?

WBCとJBCに分けて説明しよう。


[WBC]
JBCで優勝する。そうするとWBCの出場資格が得られる。以上。

・・・それ以外、どうやって出場できるんだろうか。今のところ、抜け道は無いようである。
より出場のチャンスを増やしたければ、競争の低い国で予選に出るというのはどうだろうか。
ただし、日本のように「WBCへの切符は日本国籍を有するものに限る」というルールがある国もあるだろうから、よその国の予選で優勝したはいいけどWBCに出場させてもらえなかったなどというオチがつかないように注意されたし。


[JBC]
JBCに出場するにはどうしたらいいか。
例年、6月に募集されるので、忘れずにSCAJのウェブサイトをチェックして申込書をダウンロード、必要事項を書いて申し込みすればOKである。
※申込書(2010年版、すでに申し込みは終了しております)
参加費としてSCAJ会員10000円、非会員15000円を振り込んだ時点で申し込み完了となる。

「へえ、簡単なんだ〜」と侮ることなかれ。ここからすでに戦いは始まっているのだ。
まず、申し込み多数の場合、先着順になるので、今年の場合は6月11日の午前10時の申し込み受付開始時間から、申し込みが殺到するわけだ。まず、この時点で募集人数内に入る必要がある。つまり、一度ファックス流して送信できなかった場合、後でいいやなどと放置すると、もう定員に達しているということがあり得る。もし仕事で手が離せない場合、誰かに頼んでファックスを送り続けなければならない。

さて、申し込み書の中に【平日・土日・指定なし】という欄がある。予選が3日間にわたるため、都合のよい日を選べるシステムだ。都合のよい日をただ選べばいい?いやそうじゃない。ここでも駆け引きがあるのだ。
自分の都合のよい日というのもあるが、有力バリスタがどの曜日に来るか、彼ら(彼女ら)と同じ日にするのか、避けるのか。戦略として、同じ日にすれば、予選を見れた上、彼ら(彼女ら)が決勝に進んだ場合には予選と決勝でどのような戦略で戦っているかを確認することができる。自分の力量からして「今年は決勝は無いな。ま、勉強のつもりで」というなら、ぜひ有力選手と同じ日にカップリングされるように曜日を指定したいところだ。
逆に、決勝まで行く気マンマンな場合、相手となる有力選手と同じ日にするかどうかは悩ましいところだ。相手に手の内を晒すのはイヤだが、相手の出方は見ときたい。もちろん誰か斥候を遣わすというのもアリだがやはり自分の目で見たいだろう。そこはそれぞれの戦略で考えてみて欲しい。

さて、出場するには、これだけでOKである。定員内に申込書が受理されて、振込みすれば、出場権は得られる。



出場権が得られたら、次に何をするか。
そりゃ練習ですよ練習。一に練習二に練習、三四が無くて五に練習。とにかく練習あるのみ。
・・・というのは当たり前。みんな練習には余念が無かろうって。
それ以外に何をすればいいのだろうか。

まず第一に、ちゃんとした服とちゃんとした道具を用意する必要がある。
服装は大事だ。穴の開いたジーンズにTシャツというスタイルで普段営業しているとしても、この日ばかりはパリっとノリの効いたシャツに、これまたパリっとしたバリスタエプロンをつけて行こう。ネクタイもあるといい。蝶ネクタイでもいいし、普通のでもいい。そういうものだと思って、いわゆる正統派バリスタ的ファッションに身を包んで行こう。
そしてピッチャーやカップやタオルやその他諸々、競技に使うものは全部新品にするか、よく磨いたものを用意する。
キズだらけで曇ったピッチャー、漂白の必要がありそうなカップ、端のほつれたタオルなんかでは上位入賞はおぼつかない。そういうところも見られているのだ。決勝に行きたければ、新品を用意したほうがいい。

さらにさらに、使用する豆を、スペシャルなのをどうにか仕入れられるようにがんばろう。
例えばCOE1位とかなら素材としてはベストである。文句なしである。しかし、そうでなくてもスペシャルな豆というのは世の中にいくらでも存在している。COE1位は(当たり前だが)その年のその国のCOEに出品された豆の中で最も美味しいというだけで、その国の全ての豆の中の最高というわけではないのである。
そして豆をどのようにローストするのかも大事である。今はかなり浅煎りの豆を使用している競技者が多いようだが、それはやはり流行というか、点数を取りやすいロースト度数というのがあるわけで、それを外すのは何か戦略でもない限りおすすめできない。
例えば、フレーバーが取りやすいなどの理由があるのだろう、審査員の求めるローストで提供するほうが何かとオトクである。

さて、あとは競技用のマシン(シモネリ社のアウレリア)、良いグラインダーが用意できればそれに越したことは無い。ハードウェア、素材などをきちんと準備できて、やっと「あとは練習あるのみ」という段階になったということだ。
最高のエスプレッソと最高のカプチーノを提供するために、それこそ一に練習二に練習、である。


では、次回〜出場しないけど興味アリ編〜をお楽しみに!
posted by ホゼ at 21:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | エスプレッソ技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

バリスタチャンピオンシップパーフェクト(かも)ガイド! 〜概要編〜

バリスタチャンピオンシップパーフェクト(かも)ガイド! 〜概要編〜


先日行われたワールドバリスタチャンピオンシップで、日本代表の中原バリスタ(丸山珈琲所属)が惜しくも成績は惜しくも上位入賞とはならなかったものの素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたのは記憶に新しい。各種メディアにも取り上げられていたので、これをニュースで見て「ほほう、バリスタってこんなことやってんだな」などと興味を持たれた方も多かろうと思う。
そんな方がこのブログを見てるかどうか知らんが、一応バリスタのはしくれとしてバリスタの裾野を広げていくのも必要だと思うので、バリスタの大会について、数回に分けて説明をしていこう。

今回は、概要編。各国バリスタが集い世界一を決める「ワールドバリスタチャンピオンシップ」と、その日本大会である「ジャパンバリスタチャンピオンシップ」について、ざっくりと説明しよう。

[ワールドバリスタチャンピオンシップ]
ワールドバリスタチャンピオンシップ(WBC)とは、ヨーロッパスペシャルティコーヒー協会(SCAE)とアメリカスペシャルティコーヒー協会(SCAA)が共催する年に一度の競技会である。
(ちなみに、この二つの協会のサイトを見比べると、同じ目的を持つ団体ながらお国柄なのかずいぶん違う印象を受けるので面白い。ぜひリンク先を見てみてください)
競技会では、50を超える国のチャンピオンが、4杯のエスプレッソ、4杯のカプチーノ、4杯のオリジナルシグネチャドリンクを15分間の音楽に合わせて提供する。
ジャッジは味、サービス、清潔さ、創造性、技術と総合点で審査する。
WBCウェブサイトより抜粋
今年はロンドンで開催されたSCAE見本市内にて開催された。その様子などはこちらの公式ウェブサイトから見ることができる。
ちなみに来年はコロンビアの見本市内にて開催されることが決定している。今まで消費国のみで開催されていたが次回は初の生産地開催ということで話題となっている。
ワールドバリスタチャンピオンシップで優勝すると、結構すごい影響がある。もちろん優勝すればその所属する店の売上や知名度に良い影響が出るだろうし、肩書きを引っさげて世界のあちこちに出店するとかも可能かもしれない。
ちなみに2003年チャンプのポールバセット氏のカフェが新宿にあるよね。
しかし、僕が思うにバリスタチャンピオンシップ優勝、あるいは上位入賞の影響と言うのは、世のバリスタ、コーヒー業界にとって別のところで強く現れると思う。
それは何かというと、いわゆる「流行」である。WBCのひのき舞台で繰り広げられるパフォーマンス、使用する豆、抽出テクニック、更にはシグネチャドリンクに使用される機材や食材、これらが「最先端のバリスタのスタイル」として世界中に発信されるわけだ。世界中のバリスタがその影響を受けるのは想像に難くない。


[ジャパンバリスタチャンピオンシップ]
競技ルール等はWBCに準じる。
日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)が開催する年に一度の競技会である。
予選は東京と大阪、それぞれ80名ずつで戦う。例年、7月下旬から8月上旬に各会場三日間ずつ予選が行われ、それぞれの会場で上位8名ずつ、16名が準決勝に進出する。準決勝と決勝は、例年9月に開催されるSCAJ見本市の中で行われ、準決勝から決勝へは8名が進出できる。準決勝と決勝は同じ日には行われず、開催日程内で準決勝の翌日に決勝となる。見本市内で行われるため観客が多いため、ビデオカメラでの撮影により、選手の手元など見にくいところが大スクリーンに映し出される。また決勝の様子のDVDが後日発売される。
優勝すると、WBCへ招待される。また、SCAJより遠征費用が出る(全額かどうかは知りません。興味のある人はぜひ優勝して確かめてください)。



ということで、おおざっぱだけどバリスタチャンピオンシップについて説明してみた。概要編おしまい。もっともっと詳しく知りたい人は、グーグル先生に聞くといくらでも教えてもらえるので遠慮なくどぞー。

では次回〜出場するには編〜をお楽しみに!
posted by ホゼ at 14:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | エスプレッソ技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月13日

ジャパンバリスタチャンピオンシップに参加。

先日、WBC(ワールドバリスタチャンピオンシップ)がロンドンにて開催されたばっかりですが、日本では来年のWBCに向けた日本大会が目前になっております。



僕はもちろん出るほどのスキルがあるわけではないのだけど、亀の甲より年の功ってヤツかな、豆を仕入れているロースターさんとこのバリスタさんのサポートとして、JBCに参加することになった。パチパチ。

って言っても、彼女(そう、バリスタさんはうら若き女性である)とタッグを組むのは2回目、前回のJLAC(ジャパンラテアートチャンピオンシップ)ですでに一度タッグを組んで大会に出場しているのだ。
その時は僕も初のサポート役で、しかも急遽抜擢されたという参加だったので、不慣れなところもあったのだが、今回は事前の準備からやっているのでサポート役を十分に果たしたいと思う。


グラインダのバーを取り替えたりプレゼンの仕方を考えたりという裏方作業はもちろん、豆の味をチェックしたりテクニカルな部分のチェックもしている。
なんだかこういうのが好きみたいだ。大会に出ようとはあんまり思わないけど、出る人のサポートはすごくやりたい、というか楽しい。


僕がサポートするバリスタさんの予選の日程は7月29日(木)である。まだまだ2週間以上あるから、できるだけクオリティを上げられるように僕ができることを精一杯やろう!

秋のSCAJで開催される決勝戦にコマを進めるためにサポートがんばるっ!
posted by ホゼ at 23:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | エスプレッソ技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月21日

SCAJ中級カッピングセミナーA

さて、ここに一人の登場人物がいる。T君である。彼は某地方で豆のネット販売をしていて、かなりファンもついており、出張コーヒーサービスやイベントにも顔をだし、成功しつつあると言ってよいだろう。熱心なコーヒーマニアであり、カッピングもきちんと経験してきている。
彼とはツイッターで知り合い、今日初めてリアルに会ったわけだが、彼はこのような経歴からある程度の自信を持ってこの中級カッピングセミナーに来たようだ。
僕にしても、いくつかのセミナーを経て、また普段もカッピング会に参加するなどしてスキルを上げてきたし、また、週末の移動カフェでは週替わりのシングルオリジンのスペシャルティコーヒーを使ったエスプレッソを提供している。僕もまた、ある程度の自信を持ってこのセミナーに来た。





・・・が、しかし。

セッション1のあと二人で「アカン、全然取れてへん」「だめだ、全く取れてない」と、泣きそうな顔で肩をガックリと落とし、慰めあうハメになった。
僕達が取れてないことは、程度の差こそあれ、間違いない。ちょっと自信もって来ただけに、思いっきり打ちのめされてしまった。

(某地方、とボカしたのに思いっきり関西弁だなこの人は)

セッション2は復習問題だから、落ち込んだ気持を切り替えてなんとかこなしたが、その後ゴハンを食べに行く途中、ずーっと「取れてへん」「取れてない」「アカン」「だめだ」と念仏のように繰り返しながら歩いた。一人加えて3人でサンドイッチショップでランチにしたのだが、全く食欲が出ずもそもそと暗い顔を突きあわせて食べて、大の大人がグチりまくっていたら昼休みの時間がギリギリになってしまい、慌てて早歩きで会場に戻るという体たらくである。
まだ午前しか終わっていないが、そのくらい、このカッピングセミナーは衝撃的だった。


さて、午後のカッピングは産地がバラバラで4サンプル、その後一つ加えて順番を変えて5サンプルである。

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セッション3ではすごいひっかけ問題があった。これは僕はもちろんのこと、まんまとほとんどの人が引っかかり、関根・丸山両講師が小躍りせんばかりにニヤニヤしていたという見事なワナであった。
まず、さっきのクリーンカップを意識しながらゆっくりとカッピングしていく。慌てると、間違った先入観から思わぬミスを積み重ねてしまうから、スロースターターでいいじゃないかと自分に言い聞かせ、ほかの人がさっさとすすって点数をシートに書きはじめても、自分のペースを意識して落ち着いてカップし始めた。

ひっかけ問題のサンプルは、華やかに思える酸、ボリュームのある甘み、キャラクターの立ったフレーバーを持っている。つまり、個々の項目の「量が多い」のだ。その質の良し悪しを判断できなければ、点数が高くなってしまう。そして、多くの参加者が、量に引っ張られて質を見分けることができなかった。
ものすごく冷めてから、講師が言う内容をよーく思い返して注意深くカップすると、確かにこれは「質が良くない」のだ。例えば、甘いことは甘いが美味しくない甘みだ、という具合だ。カッピングシートには質の良し悪しを記入する(それが点数になる)わけで、量が多かろうが少なかろうが、質が悪ければ点数は高く付かない。もちろん質の悪さというのは、例えば質の悪い甘さはクリーンカップやマウスフィールにも悪影響がある。それらの点数も低くなるということなのだが、実際にはその量に惑わされ、マウスフィールが良く思えてしまったり、甘さのボリュームに隠された雑味などを感知することができずクリーンカップに思えてしまったりするのだ。

関根講師の言葉である。「量はまずアタマから取り去って、質だけを見てください」
おおおおお、それができれば苦労しねーんだよという心の叫びは置いといて、質だけを見るとはどういうことか。
質を見るとは、その味が濃かろうが薄かろうが、好ましいか好ましくないかを判断する基準を持つということだろうと思うが、まだまだそこに達するには修行が必要そうだ。

結果的にはこのセッション3、合計点では、このひっかけに見事に引っかかった以外は、良くはないがダメというほどでもなかった。しかし、点数のつけ方として5点、6点、6.5点というあたりで細かく指導された。合計ではそれなりになっていても、細かく見ると間違いだらけということだ。特に、クリーンカップの点数がひっくり返る(高くつくべきを低く、低くつくべきを高く)というところが2箇所あり、これは思いっきりダメ出しされた。

さて、セッション4、サンプルを一つ足してもう一度。ひっかけに引っかからないように、量を質と勘違いしないように、慎重に慎重にカッピングを始める。
これも復習なので、さっきと同じサンプルを見分けられればあらかたカタがつく勝負だ。と思いきや、プラスされたサンプルがどれかわからない。すでにヘトヘトであり、集中力も限界、その上復習なのだから間違いは許されない、そんな状況で新入りがどれかわからないのだ。もう涙目である。本気で半泣きになりそうになった。
ひっかけはわかった。もうひとつ、コマーシャルもわかった。残る3つ、これのうち、二つがデッドヒートである。オリの中のクマの如くカップの前をウロウロと往復し、もう沈んだ粉に触れそうなくらいカップして最終的に決断を下し「これが一番好きだ、だからこれが一番高い点だ。悔い無し!!」と報告しに行ったところ、まあまあですというような歯切れの悪い返事。え〜正解じゃないの!?

結局、僕が一番高く点を付けたのは、COE上位豆のうち、パカマラだけを集めたロットであった。
点数的には、デッドヒートのもう一つのほうのサンプルが、上に来るということだ。


パカマラ。 ・・・ええ、大好きです。間違っちゃないです。大好きだから点が高いんです。だからどうした、それが悪いのかあああああぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜



というわけで午前の大外し、午後のひっかけ、最後のパカマラとまんべんなく波乱万丈なSCAJの中級カッピングセミナーが終了した。
「これはぜんぜんダメだ、軽くテングになってたけど、実は実は井の中の蛙だったんじゃないか。まるで取れてない。同じセミナー受けてても、ほかの参加者とは雲泥の違いだ」とかなりショックを受けたセミナーだった。
特にクリーンカップ、これが難しい。これがぜんぜん取れてない。ということがわかっただけでも、行った甲斐があるってもんだ。行ってよかった。


以上、カッピングセミナーでした。おしまいおしまい。





と思いきや、このあとT君と下北へ行き、B君、 E君、H君、S君、M兄さん、M君、A君の全9名でツイッターのコーヒークラスタのオフ会となった。
なんでも地ビールがうまい店だそうだが、あいにく僕はお酒が飲めない。しかし「ありえない」「なにこれ」「信じられない」というようなとてもビールに対する感想とは思えない言葉が飛び交うに至り、ちょっとずつナメることにした。
僕、ビールなんて苦くてなんでも同じでしょと思っていたのだが、なんのなんの、まるでフルーツジュースのようなフレーバーなのね。こりゃすごい。
誰かが一杯注文するごとに回し飲みして「オレンジ系、ネーブルとか甘みの強いやつ」「青りんご、マスカットもあるかな」「これはレモン!」などとひとくちごとにみんなプロファイルを発表しだすあたり、コーヒークラスタだなーと苦笑してしまった。まあ僕も「お、これはメロン!」とかやっていたのだけどw

ものすごい濃い〜男子9名のオフ会はとても楽しかった。

この中で今、明らかにプロを目指しているのは僕とT君だけなのだが、日本にはこんなにアツいコーヒークラスタがいる。彼らのためにももっと良いスペシャルティコーヒーを、エスプレッソを紹介したいと思った。そしてまだ見ぬコーヒークラスタのためにも、もっともっとがんばんなきゃなーと、勝手に日本のコーヒーの明日を背負ったような想いと身震いするような道の険しさを感じながら、常磐線に乗ってウチに帰ったら、なんと深夜0時を回っていた。朝5時起き、今日は長い一日だったなー。
お疲れさん、自分。そしてがんばれ、自分。
posted by ホゼ at 14:59 | Comment(4) | TrackBack(0) | エスプレッソ技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

SCAJ中級カッピングセミナー@

6月某日、東京某所で、とある団体が主催するセミナーに参加してきた。雑居ビルのドアを開けて、地下のセミナー会場へ向かうとそこは・・・



と書くとアヤシイよねえ。

6月16日(水)、東京タワーのふもとで、SCAJ中級カッピングセミナーに参加してきたんだけど、普通にそのときのレポを書くとテンションが下がってしまいそうになるくらいコテンパンにやられて帰ってきたので、ちょっとおちゃらけてみましたw

20100616085658.jpg

朝9時ちょっと前に東京タワーの前に着いて、記念撮影。パチリ。
このときは、1時間後にとんでもないことになるなんて思わなかったんだよなあ。



講師は関根さんと丸山さんである。
今日は4セッションするのだが、参加者は6テーブルに別れ、4人一組でカッピングをする。そして自分の名前の方の講師に報告に行く。合計点数はもちろん、特定の項目(例えばクリーンカップは何点?とか)やプロファイルも聞かれ、それがおかしければ指摘されてもう一度カッピングしに戻る、というシステムだ。

関根さんも丸山さんも非常ににこやかで明るく、会場の雰囲気は10時までは和やかな感じだった。

20100616110717.jpg

ではセッション1である。(以後、サンプルの銘柄など細かい説明は端折るのでご容赦を)


「ブラジルから4サンプル、都合でパルプドナチュラルだけで揃えられなかったんで、ナチュラルのサンプルも入ってます。トップスペシャルティ、スペシャルティ、プレミアム、コマーシャルの4つです」と関根さんからアナウンスがあり、カッピングを開始した。
ドライの香りを嗅ぐ。お湯を注いで、ブレイクして、冷めるのを待ってすする・・・いつものカッピングである。僕もSCAJの初級カッピングセミナー、丸山コーヒーのアドバンスコースのカッピングセミナーと出てるし、時々は豆の仕入先さんでやるカッピングに参加しているんで、そんなに取れないってことはないと自負していた。
サンプル1、サンプル2、サンプル3、サンプル 4とまずは印象を見てみる。熱いうちはどうも細かいフレーバーが取りにくいので、全体のイメージをぼんやり取るくらいでまずは1周するのが僕のやりかただ。




え?



・・・ええええええええ?ぜんぜんわからないんですけど(滝汗



もうね、最初っから浮き足立ってるんです。舞い上がっちゃってる。
味が違うのはわかる。わかるんだけど、どっちが優れているのかがわからない。酸は?これはある、こっちはない、でもどっちが「優れているんだ?」と自問自答しても答えが出てこない。アタマは真っ白、唇は乾き、目が泳ぐ。もう一周しても何がなんだかわからない。アフターテイストは?どれも何かが舌に残る、でもどれがいいのか悪いのかがわからない。あわわわわ。
前回の轍を踏むわけにはいかないので、最初の点を慎重につける。最初の項目、フレーバーの点数を、4カップの印象を比べて付けるのだ。そうすれば、少なくとも順位と点数がバランスして記入できるはずだ。

前回の轍とは
・・・アロマ、味、風味を取っていくわけだが、 A、B、Cと続けて行くと明らかにA>B>Cなのだ。なのだが最初に「6」と書いているわけで次のBは「5」と書かざるを得ない。得ないがそんなわけない。いくらなんでも「5.5」だろう。普通ではない、良いなのは間違いないのだから。しかし「5.5」は書けないのでBは「6」とした。
そうするとA>B>CなんだからCはもう「6」は無理。つけられない。「5」をつけるしかない。普通?いやいや「6」が十分つくと思うんだけどAが「6」なんだからしょうがない。・・・
というわけで、最初にどれかの点数を決め打ちにするとあとあと辻褄が合わなくなるよ、という話。

そしてこれがセッション1の大失敗の原因だった。まったく毎度毎度。人間は失敗する葦である、だっけ?


フレーバーの大小で、点を付けてしまった。雑味がたくさん出てる、味の強いサンプルの点が高くなってしまったのだ。
点数はここで決まったも同然だった。最初にこれは、と思うと最後までその印象をぬぐいきれないで終わる可能性が高い。最初につけた点数を途中で大幅に変えるのはとても勇気がいる。ちょこっと変えることはあるけど、4点つけたのを6点にするなんてことは、普通、あり得ないわけで、それをやるのは相当思い切らないと変えられない。もちろん今回も、間違った最初の印象を大きく変えることは無かった。
というわけで、ほぼ、この結果はカッピングの最初の10分で決まったと言ってよい。間違った印象を元に、そして講師の情報、ナチュラルが混じってますというのに惑わされ、迷路を抜けることなく間違った出口に着いてしまったのだ。

ホワイトボードには僕の名前も書いてある。報告しに行かなきゃならない。どうせ点数もつけ終わってるしと3番目くらいに報告しに行った。
関根さんに点数を報告すると、開口一番、こう言われた。

「強さと質を取り違えているね」



それだ。それを区別しないと、カッピングの点数を付けるということにはならないんだ。
その強さと質の関係、質は良いのか悪いのか、これがわからなければカップの点数はそれこそ「印象点」になってしまう。まるで客観性を持たない点数ということだ。


がっくりと肩を落として、もう一度サンプルをすすりに行くと、講師に注意されたことをよーくよーく考えながら味を見れば、なんとなく言われたことがわかる。つまり取れてるということだ。でもそれが利用できない(スコアに反映されない)なら、取れててもまったく意味がない。
そして、みんなの点数の申告が終わるまで、残ったサンプルを自分の舌とアタマに言い聞かせながら何回もすする。これがクリーン、これがノットクリーン、これがクリーン、これがノットクリーン。繰り返し、いいカップと悪いカップを往復して、その違いの本質を覚える。

ちなみに大外ししたのは数人で、ほとんどの人は多少ズレているというような範囲に収束していた。
もちろん僕は大外ししたうちの一人であり(もしかしたら、最も外していたかも)、かなり凹んでしまった。

20100616110518.jpg

そしてセッション2同じサンプルで、順番を変えて、もう一度同じサンプルをカッピング。
さっきのフレーバーも覚えているし、特に講師に注意されたことを思い出しながら、丁寧にカッピングする。特に、クリーンカップは冷めてから如実に現れる。僕はまだ熱いうちにそれを取ることができないので、今度は冷めるまでじっくりカッピングすることにした。

さっきは3番目くらいに報告に行ったが、今度はかなり後のほう。つまりほとんどの人が僕より先に報告しに行っているので、ホワイトボードを見たら傾向がわかるのだが、それを見てはつまらないので気にせず自分の感覚でひたすら繰り返しカップする。
よーしできた、と報告に行くと、まあ大体、合っていた。しかしコマーシャルとプレミアム(ハイコマーシャル)の点数に差がつかず、講師(こんどは丸山さんだ)に点差がつくのはどこかと聞いたところ、クリーンカップに大きく差がつくよ、と実際に残っているサンプルを講師とカップしに行き、確認。確かに、どちらもクリーンではないが、クリーン度には差があった。ほかにも点差がつくところはあるが、クリーンカップは明らかに1点差が付く、と実践的なアドバイス。

クリーンカップは冷めてからのほうがよくわかる。これは経験則で知っていた。しかし、そのほかのマウスフィールや甘さやあれやこれやも、実は熱いときには取りにくいという項目がある。

講師からのアドバイスも含め、カッピングするときのメソッドはこんなんがいいのではないかなーと現時点で思っているのを書くので、参考に(したい人は)してください。

00分 お湯を注す 
04分 ブレイク
10分 やけどしないようにゆっくりと2周して熱い状態のフレーバーを確かめる
15分 カッピングシートにフレーバーを記入しながらゆっくりとカップする。
20分 カッピングシートに点数を記入しながら、1項目ごとにカップする。ただし、点数を付けるのは自信があるところだけ、自信がないところは仮の点をつけておく。クリーンカップとマウスフィールは付けない。
30 分 もう一度、全体の印象を確かめるために1周し、おかしな点がないかチェックする。自信がないところは確認する。
40分 クリーンカップ、マウスフィールを取る。そのほか、まだ自信がないところを確認する。また、全体の印象度と合計点数に乖離が無いか確認し、乖離がある場合、勘違いしているところが無いかチェックする。時間があれば、1時間くらいまでは確認したい。
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2010年05月27日

丸山コーヒーカッピングセミナー アドバンスコース そのA やりすぎは禁物

さて、おいしいお昼ゴハンを食べたらすぐに午後のセッションに入る。

セッション2もまた5サンプル。
今度も地雷がふたつあった。

※あらかじめ豆が何とか地雷がいくつとか(そもそも地雷があるかどうかなんかは)全然知らされておりません

3テーブルあったので、午前とは参加者の振り分けを変えてやることになった。これまたさっきとメンバーが変わるというのは新鮮だし面白い。

当たり前なんだけど、カッピング中は「ズズー」「ズズー」「ズズー」という音しかしない。一部「ピュー」と鳴らしている猛者がいたが・・・まあカッピングヒヨッコの集まりのようなものなので、たいていの人は(もちろん僕も)ズズーだ。
USTREEM見てたツイッターのフォロワーさんが
「会社でイヤホン挿して見よう思ったら「ズズー」「ズズー」しかやってへんw しばらくしてまたイヤホン聞いたらまた「ズズー」やw エクセルの画面どかして見てみたらカッピングでお前らまだズズーかよとw」
と言っていた。
まあ真剣で私語もなく集中して「ズズー」とやっていたわけだ。


さて、カッピングシートにはだいたいシートの一番上のサンプルから書き始めるわけだ。
さっきのセッションで点が甘めに出たわけで、今回は低めに見積もるぞと心に決めてまずはドライの状態のアロマを嗅ぐ。

Aはうまそうだ。甘みも強いし爽やかな香りもある、スパイスもある。ドライの状態でコンプレックスと。
Bもイケるね。ナッツ、チョコ、キャラメル方面に強い香りがある。甘いんじゃないかな。
Cは少しドライの状態からウオータリーな感じがしなくもない。フルーツは出るが複雑ではない感じだ。
Dはどうだろう、香りが弱いしフルーツや花の香りはほとんど無い。悪い紅茶のような発酵臭、とげとげした香りだ。
Eは少しアンモニアな匂いがある。ローストも焦げている感じがあるしちょっといい香りが無い。

である。さて、ここからが午後半日続く失敗の始まりなのだ。

まず、Aのアロマ、味、風味の欄に僕はこう書いた。

「6」(実際には目盛りの6の部分に線を引いた)

20100527142141.jpg

これが大間違いの原因である。
実は最終的にこのAが最も高いスコアを付けたのであるが、その点数は86点である。すごくうまいし好きな味だし最終的になんで86点なのだろうかと後で悩んだくらいなのだが、分析してみると、最初の最初で「6」とチェックしたのが全ての原因だ。

まず、アロマ、味、風味を取っていくわけだが、A、B、Cと続けて行くと明らかにA>B>Cなのだ。なのだが最初に「6」と書いているわけで次のBは「5」と書かざるを得ない。得ないがそんなわけない。いくらなんでも「5.5」だろう。普通ではない、良いなのは間違いないのだから。しかし「5.5」は書けないのでBは「6」とした。
そうするとA>B>CなんだからCはもう「6」は無理。つけられない。「5」をつけるしかない。普通?いやいや「6」が十分つくと思うんだけどAが「6」なんだからしょうがない。

というような迷いがシートにも出ていて、BやCを書き直している。

後から考えると、Aが「6.5」あるいは「7」なんだよね。そっちに修正できれば良かったものの、心に「さっきは高かったぞ、今度は低めにしないとまた高くなりすぎる」というのがあったので、本当に良いものなのにAを低めに見積もりすぎてしまった。

そしてそのまま最初の「6」を基準にカッピングを進めてしまい、あとから「インプルーブ」という評価をしているがそれでも点数アップは追いつかず、Aのカップが86点、これは正解(というのは無いのだけど、標準的な点数がどのへんかと言えば)は90点以上がつく豆だということだ。

A>Bなわけで、Bの点は必ずAより低くならなければならない。しかしBもうまいのよ。うまい。これどう考えても82、3点の豆じゃない。
というわけで最終的にAとBの差は0.5点、僕の結果では85.5点なんだな。これは90点近い豆だそうだ。

ええい、低くしすぎだ。

DとEに至っては(コマーシャルクラスなんで、まあ良くないといえば良くないんだけど)悪い点数のオンパレードになってしまった。
これまた低すぎ。


終わってから「基準を持つことはいい。しかしその基準が合っていると思うなよ」という悪魔の声が聞こえてきた。本当に聞こえた。下げるという意識が強すぎて、本当にいいものなのに「良すぎに評価してないか」と自分で間違ったほうに誘導してしまった。そしてそれを途中で修正できないところがまた経験不足というか未熟というか。

ハァ。


セッション2の教訓

「良いと思ったら、自信を持って良いと言おう。ちゃんと説明ができるなら、それに見合った高得点をつけるべきだ」
「迷うのは、感覚で判断していないから」
「何事もやりすぎは禁物。度が過ぎた調整はもはや前回が参考にならない」



怒涛のセッション3へ続くです。
posted by ホゼ at 15:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | エスプレッソ技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

丸山コーヒーカッピングセミナー アドバンスコース その@ みんなでやるっていいね!

丸山珈琲のカッピグセミナーのアドバンスコースに参加してきたので、そのセキララなホゼの様子と、ホゼなりに「こーゆーとこ大事だろ」というお話を書く。


※たぶん長くなるのでいくつかに分割してお届けします。お急ぎの方は下のリンク(丸山珈琲のブログです)をご覧ください。



丸山珈琲のセミナー&情報ブログのセミナーの記事はこちら


まず、セミナーの概要はこんな感じ。

□セミナー概要 講師は丸山珈琲のオーナーでカッパーでもある丸山健太郎です。 ・カッピングの基本は習ったが、もっと訓練したい。 ・カッピングをもっとやりたいが、やれる場所・場面がない。 ・普段カッピングをやっているが、疑問・質問がある。 対象はこのように、カッピング経験がある方、もしくは習ったことがある方、 もしくは丸山珈琲のカッピングコース導入編を受講したことがある方です。

ということなので、セミナー参加者はもちろんカッピング経験者。あれー?僕はこんなところに行っていいのかなー?と不安になりつつも参加してきた。


場所はFIAT CAFFE、青山である。

※以前のエントリでも紹介したので、どんな店かはコチラをごらんください。

ここで丸山健太郎氏が講師で、生徒は10名、バリスタトレーナーの阪本氏をはじめそうそうたるメンツがお手伝い、という豪華なセミナーが10時から16時までとお昼を挟んで計5時間という長丁場で行われた。



例によって丸山珈琲関連アカウント(丸山さん、阪本さんほか)をフォローしているツイッターの面々が過半を占めるという参加者となったが、今回ばかりは「アドバンスコース」ということもあって、最初になごやかに挨拶と世間話をした後は、みんな目が三角になってピリピリしちゃって、和気藹々どころの話ではなくなった。とにかくひとつでもふたつでもレベルアップしたい、知識を得たい、疑問を解消したいというある意味なりふり構わぬ参加者の意気込みに先生も生徒も白熱して、最初っから最後まで侃々諤々の活発な会場だった。



さて、本ブログでセミナーで何やったとか細かく書いてしまうと、ある意味著作権侵害とかに当たりそうな気もするし、だいたいカッピングのセミナーなんて行ってみなけりゃ話だけ聞いたところで仕方がないと思うので、このエントリでは、僕が何をやらかして、何を感じたかを書く。そのほうがこれ読んでる人の参考になりそうだしね。



10時定刻にスタートしたセミナーはまず、丸山さんの軽い説明から始まった。
かいつまんで言うと、

・カッピングは数をこなせ
・いろんな場所でいろんな人とやれ
・ミスは絶対にあるから、ミスをミスとわかるようになれ

という感じ。ね?このエントリでくだくだと内容を細かく書いたのを読んでもあんまりスキルは上がらなそうでしょ?w


んで、すぐにカッピング開始。午前中は1セッション、5サンプルである。

カッピングの様子はこちらby阪本トレーナー

106075680.jpg




どうやら僕は点が甘くつく傾向があるらしい・・・ということが第一回目のセッションでわかった。
まだカッピングを初めて間が無いので、偏差分布の真ん中がどのへんかというのがよくわからないのだ。
比較してどちらが点数が高いか、というのはだいたい当たるのだが、何点違うか、もっと言えば何点と何点なのか、というのがてんでわからない。


20100527142236.jpg

そして、プロファイルも取りやすいのと取りにくいのがある。例で言うとフルーツなど酸は取りやすいがナッツやハーブが取りにくい。
あとからほかの人のプロファイルを聞くと、あれーそんなんあったんだーと思うことしきり。

二つ地雷があったのだが、点数の並び順はだいたい正解と思われるスコアができたものの、点が甘すぎて下のほうの豆がわりと普通の点数(悪くない)になってしまった。


そしてワインや紅茶に例える人がいて、丸山さんもその話にノリにノッて「どんなワイン、どこ産、ブランドは」などと細かい話になったのだが、こればっかりは飲んだことがないとわからない。僕はアルコールがダメなので、がぶがぶ飲むわけにはいかないが、味を知る程度には定番のワインなんかは飲んだほうがいいのかなーなどと思った。


そしてセッション終了後、丸山さんに点数を見てもらったら、やはり少し高いかもということで(許容範囲だけど、とも)、午後は少し点を低めにしてみることにして、これで午前の部が終了した。


セッション1の教訓

「ワインもそうだけど、いろんなフルーツやその他食材を食べるべき。でないと味や香りが表現できない」
「誰かとやることで、大勢の中で自分の点はこういう傾向に出やすいというキャリブレーションができる」
「好きな味や香りは取りやすく点が高くなりやすいが、そうでもない味や香りは取りにくいし、取れても点を高くしない傾向があるが、それはもちろんダメ〜」


次は第2セッションね。
posted by ホゼ at 14:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | エスプレッソ技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月07日

ラテの適正温度とは

今日、いつもお世話になっているカフェでコーヒーを飲んでいたら、出かけていたマスターがえらくニコニコして店に戻ってきた。
ご近所さんから面白いものを借りてきたとのことで手にはコレを持っていた。

41cFf5T3oeL._SS500_.jpg

そう、放射温度計である。対象物に触れずに温度が測れるすぐれものである。

たぶん、借りてきた先でも業務で使っているわけで、すぐ返さなきゃならないらしく、「じゃあ急いでラテの温度を測ろうよ!」と言うことになり、急遽ラテの温度測定大会となった。



まず、抽出しているエスプレッソの温度を測定してみた。

96943088.jpg


意外と低いぞ、70℃から73℃あたりのようである。カップはちゃんとあったまっているし、湯温も少なくとも90度程度で安定しているはず。ポルタフィルタだってグループに付けていたから冷たいわけないし。20度も違うってどういうこと?
と思っているうちにバリスタがミルクをスチームしているので、続けてラテの温度測定。
温度を計ったら、なんとなんとの45℃くらい。低すぎる!
ちなみにラテを普通に作って、普通に上から放射温度計で測った。

「なんかちょっと低いよね?」
「ぬるい?ぬるい?」
「これはぬるいかも」



というわけでもう一度、もう少し熱めでスチームしてみようということになった。
しかし、今度はちょっと測定方法を変えてみた。

さっきは上から温度を測ってみたら思ったより温度が低く、しかしながら表面の温度より下のミルクの温度が高いのは飲めばわかる。つまり、表面温度は刻々と下がってしまうのだが中の液体はそれほど温度が低下していないハズだ、という仮説に基づき、今度は、放射温度計で上から、棒状温度計で中の温度をはかりつつ、液体をかき混ぜて表面の温度と中の温度も均一にしようというわけ。

一人が放射温度計を持ち、一人が棒状温度計を持ち、一人がスプーンで液をかき混ぜるという三人がかりの測定である。

96943486.jpg


注いでいるときのピッチャーの中身(スチームしたて、だ)を放射温度計で計るとぎりぎり50度に届かない。注いでいる途中のラテの表面も同じ程度。そして注ぎ終わったラテの表面は45℃くらいからどんどん下がっていく。2〜3秒で1℃くらい下がる下がる。
そこでかき混ぜて中と表面の温度を均一にすると上がる上がる、温度は52℃くらい、ぬるいかといえば若干ぬるいかも知れないが、味は良い。スターバックスなどと比べると格段にぬるいのだが。うーんうーん。これはぬるいのかぬるくないのか。味基準ではぬるくない(適正)だというジャッジなのだが。
これがどのくらいの温度かというと、ずずー、ゴクリという感じだ。フーフーしないで飲める温度。そしてミルクの甘みは十分に引き出されていると言ってよい。


しかしうまかったからこれでOK、では終われない。ミルクの適正温度って65度とか言うよねー、というわけで更に温度の高いミルクでラテを作ってみた。
同じようにかき回しつつ放射温度計と棒状温度計で両面から計ると、今度は60度超えてる!よし、これでどうだ、みんなで飲んでみるぞ!

「・・・ん?」
「・・・微妙」
「・・・甘くない」
「・・・味しない」

というわけでカップに注がれたあと60度になっているというのはかなりヤバイ感じだった。
60度がどのくらいの熱さかというと、ず・・・ずず・・・アチチ、という感じだ。すこしフーフーしないとゴクリとは飲めない。
この温度ではミルクの甘みはすでに薄くなり、ミルク自体が変質していることが感じられる。ぐるぐるかき混ぜて棒状温度計と放射温度計の差は2〜3℃である。常に空気に触れている表面は、かき混ぜても常に数度、棒状温度計を下回っていた。

今回の検証の結論はこうだ。

出来上がりの状態で50℃くらいというのはとても美味しいので、味的なジャッジはこれを適正とする。
しかしチマタで言われる65℃がもっとも甘くなる、という話は無視かい!という突っ込みに対しては、次のような推測をする。
スチーム終了時からカップに注ぎ、お客様の目の前に届くまでには少なくとも1分程度のタイムラグがある。すなわち、スチーム終了時点(ここが最高温度、おそらく65℃近辺である)からピッチャー内のミルクの温度は刻々と下がり(ピッチャーを回したり、トントンとするなど中のミルクが移動することでどんどん温度が下がる)、更に注ぐときは空気中を移動するわけでグングン温度が下がり、更に注ぎ終わった後の表面からもどんどん熱が奪われ、1分経過後の出来上がりのカップの表面温度は40℃台まであっという間に下がっている。表面温度の下がりかたを放射温度計で測ると、もっとも熱いときは静止状態でも数秒で1℃ほども下がるのだ!それがかき混ぜたり注いだりしながら1分間である。表面から奪われた熱が、1分の間にミルク全体の温度を10度ほども下げることは容易であると思われる。
つまり、飲んだときに「ずずー、ゴクリ」と飲めるような温度がもっともミルクの甘みを引き出しているというのが正解で、サーブされた時点で60度もある、つまりアチチと思うような温度の場合はスチーム時に70℃以上に上がっていた可能性が高く、甘くないミルクになってしまったと考えて良いと思われる。


ミルクの温度は、ほんの数度で印象が思いっき違うものだという、良い検証であった。






おまけ。

念のため、その後、出来上がりで65度にミルクをスチームしたのだが、これはとても熱くて飲むことができず、まったく甘みが無く明らかに加熱しすぎであった。はっきり言って、こんなミルクで作ってはラテも台無しだ。
蕎麦の世界では「煮え前は恥、煮えすぎは恥ではない」と言われるが、ラテの場合は「加熱しすぎは恥、加熱不足は恥ではない」といったところであろうか。
posted by ホゼ at 19:36 | Comment(4) | TrackBack(0) | エスプレッソ技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月30日

焙煎は面白い!

以前の記事で、ウチに焙煎機がやってきたという話をしたのだが、その後
「小さい釜で焙煎するとどうなるか気になって仕方が無いのですが、一向に焙煎の記事がアップされませんが?」
とか
「ぼくもなつやすみにばいせんしたいのではやくきじをあっぷしてください」
というメールを多数頂いたりしたら困るなと思いながらも時間がなくてそのままにしてあった。ちっとも焙煎の記事の催促が来ないまま4月も終わりになるまでやる機会をつくれなかったのだが、昨日、やっと思い腰を上げてウチの可愛い焙煎機を連れて、焙煎の勉強に行ってきた。

DSC00657.jpg

豆はガテマラ(もちろんスペシャルティグレードのものです)を用意してくれていた。


Fさん、お付き合いくださいましてありがとうございました。ペコリ。


さて、うちの焙煎機はとりあえず手の入るところは掃除した、という状態で、まだ火を入れてなかったんだよね。まあ単純な構造だからまず火は点くだろうと思いながら、点火。

DSC00658.jpg

さて火がついたところで10分ほど暖気運転をして、火がドラムに当たるか当たらないかのところに調整して、まずは一釜目、100グラムを投入。

数分もすると豆が黒く色づいてきて・・・コゲた?スス?いやダンパーは開けっ放しだしススってことはないような・・・
更に数分、ハゼる音が聞こえてきて、ふたハゼ目で焙煎終了。火が弱かったか、時間もかかりすぎだった。

黒いのは、ドラム内のススが原因じゃなかろうかということで、火を全開にして二釜目。

今度はひとハゼまでが5分くらいで早すぎた。一応、ふたハゼ入ったところで上げたのがこれ。

DSC00660.jpg

ふたハゼまで14〜15分くらいというところを狙いつつ、更に三釜目、火の調整が若干弱かったのかふたハゼの音が聞こえにくくちょっと焙煎が進んでしまった。時間もちょっと長かった。
更に調整しながらあと二回、合計五回のトライで一応終了。

基本的に何も計測器が付いてない状態なので、全部「カン」でやるしかない。昔の人はえらいなあなどと思いながらの焙煎だった。
火が少し強くなるだけで数分のズレが生じ、釜の初期温度の違いも一定にはできない状況では同じ条件で焙煎することなど至難の業だ。
しかしそれだけに、豆を投入してからストップウォッチとにらめっこしながら豆の色をチェックするというのは、とても楽しく、エキサイティングな作業だった。

さて、五回のうちいい感じに焼けているふたつのロットを選んでカッピングをすることにした。

DSC00665.jpg

DSC00667.jpg


結果から言うと、めちゃめちゃちゃんと焼けてましたw

ええええ?こんなにうまくていいのお?????って感じw

まあ焼いてるのがプロなので(僕は今回は時間を計るのと雑用係)、五回のトライでかなりうまく調整できた、という感じなのだが、それにしてもたった五回でこれだけの結果を出せたというのは素晴らしい!


ちなみにその後、ペーパードリップでも飲んでみたのだが、これまたうまかったw

DSC00668.jpg


まずは1種類の豆を使って焙煎の技術を上げるとともに、焙煎の条件が変わることで(変わってしまうことで)どのような影響があるのかというところをデータ取りしようと思う。




いやまじめな話、この日もっとも収穫だったのはこれ
↓↓↓



「焙煎楽しすぐる!」
posted by ホゼ at 12:57 | Comment(5) | TrackBack(0) | エスプレッソ技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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