2011年11月24日

トライアンギュレーションTips

トライアンギュレーションってご存知でしたか?

僕は残念ながら、今年になってから知った言葉だった。
理系な人だと、実験の検証手法として知ってたかもしれませんが、一般的にはなじみの無い言葉じゃないかなと思うけど、どうかな?

コーヒーでトライアンギュレーションというと、カップテイスターズチャンピオンシップで競われる競技ルールとして有名なもの。先日のSCAJでも会場で準決勝と決勝をやったので、見た人も多いんじゃないかな?
んで、コーヒーのトライアンギュレーションは、こういうもの↓

「カップが三つあって、そのうち二つは同じもの、もう一つは違うものが入っていて、仲間はずれを当てる」

さて、これって意外と難しくて似たもの同士だと意外と判別が難しかったりする。
ジャパンカップテイスターズチャンピオンシップでは、この3カップのセットが8セット。全部当てるのは結構大変だよ。

最近、このトライアンギュレーションをやってみたんだけど、そのときの経験を元にちょっと必勝法的なものを考え付いたので、ご紹介。自己責任で使ってみてくださいw

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※写真は、世界大会3位になられた丸美珈琲さんのサイトからお借りしました
※前提として、カッピングのスキルがある程度あることが必要になります
※使用感、効果は個人差があります
※つかタワゴトレベルだと思って聞き流してください




まず、お湯を注してから12分で口に含むと結構熱い。だから、勢いよく啜るとヤケドするから注意だ。
啜ったときに、プロファイルとか考えない。酸の量とトーンを感じる。酸が多いか少ないか。酸が明るくて軽いトーンか重くて厚いトーンか。たいていこれで判断がつく。
そのときに、アロマも同時に判断基準に入れるといい。舌より鼻のほうが敏感に差異を感じることがある。

三つのカップは、A, A, Bなわけで、啜る順番のパターンは、AAB ABA BAAの三つしかない。しかし、最初に啜ったのがAかBか分からないので、二つ目のカップでは「最初のカップと違うか」を全力で確認する。同じであれば三つ目のカップを「二つ目のカップと違うか」を全力で確認。違う場合はもれなく三つ目のカップが仲間はずれ。
二つ目のカップが最初のカップと違うぞと思えば三つ目のカップを「二つ目のカップと違うか」を全力で確認。同じなら最初のカップが仲間はずれ、違うなら二つ目のカップが仲間はずれ。
ポイントは、常に「さっきのカップと違うか」を確認すること。これ、けっこう重要なんだ。何でかというと、カップが三つあって「三つのうちひとつが仲間はずれ」と思うと二対一のグループ分けをしなきゃならなくなる。その場合、二つが同じであることと同時にひとつはそのどちらとも異なる、という確認作業を行う必要がある。
ルールでは「仲間はずれを探す」という作業をしなきゃならないところ、アタマの中では「同じものも探す」ということになる。そこに混乱が生じる。

カップを左から1, 2, 3と番号をつけよう。その順で啜るとする。中身はそれぞれA, A, Bだとする。
この場合、1のカップの後に2のカップが違わないと感じたら3のカップと違うことを確認しに行く。そして3のカップと違うと感じたら、3のカップと1のカップが違うことを確認する。
わかりやすい場合はこうなるわけだが、問題なのは迷った場合。
1と2が同じだと感じたのだが、3も2と同じだと感じた。その場合、どうするか。
また1を啜ると思うのだが、その時には「3と違うか」を確認するべきである。どれと同じなのかではなく、直前のと違うかどうか。それだけを判断する。そして運良く違う場合は、次に2のカップが直前の(つまり1のカップ)と違うかを判断しに行く。その時、手持ちの材料に、1と3の違いがあるわけだから、その違いを判断しに行けばいい。
例えば3の後に1を啜ったら「3より1のほうが酸が暗い」と感じたとする。そうしたら次に2を啜るときに「1より明るいか」を判断しに行く。YESなら1が仲間はずれ、NOなら3が仲間はずれ。
3まで啜って判断がつかなかったという場合、問題をややこしくするのは「どれとどれが同じで、どれが違うか」と考えることだ。

カッピングの要領でサンプルを作成したことのある人なら経験があるだろうが、同じように調整しても風味が違うときがある。厳密に言えばまったく同じになることのほうが難しいのかも知れない。「こっちのほうが若干ナッツ」とか言う程度の差は、ついてもおかしくない。おおまかな印象は同じはずだが、違いを探そうとしている場合は、なおさらに差を感じてしまうこともあるだろう。
そこで、トライアンギュレーションでは同じものを探すことを諦めることで、悩ましい問題に対処することができる。
どれも同じに感じる、という問題は、見方を変えれば「決断に足るだけの違いが発見できない」ということである。すなわち、同じものが二つあるかどうかはこの際忘れて、今のカップはひとつ前のカップとどのような違いがあるか、というシンプルな問題にしてしまう。そのときに「これが違うとすれば、残りの二つは同じもののはずだ」という考えをスッパリと捨ててしまおう。同じものを探さなければ、仲間はずれを発見するのが容易になる。
仲間はずれが確定した段階で、確認のためにそれ以外の二つを啜るのはいいかも知れない。しかしその時には「仲間はずれ→それ以外の片方、仲間はずれ→それ以外のもう片方」という確認をする。どちらも同じように違うと思えば、それでいい。

その時にぐるぐると1→2→3と確認するとドツボにはまるので、ぐるぐる回すのはやめよう。回し出すと、とたんに振り出しに戻るから。


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来年のカップテイスターズチャンピオンシップに向けて、がんばろう!
posted by ホゼ at 16:38 | Comment(2) | TrackBack(0) | エスプレッソ技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
初めまして
ブログを拝見してとても勉強をしています。私は趣味でコーヒーを楽しんでいますが、コーヒーに関する部分では焙煎が一番楽しくてどんどんはまり込んでいます。
カッピングも少しずつ勉強するようになりました。
とても分かりやすく書いていただいてありがとうございます。
写真の会場には私もいました。
これからも是非コーヒーに関しての記事をたくさん期待しています。
ありがとうございました。
Posted by 珈子 at 2011年11月25日 10:13
珈子さんこんにちは!
よく川上川下などと言いますが(コーヒー業界ではfrom seed to cupなどと言いますが)どの段階にも難しさや面白さがあり、ほかの段階と切っても切れない関係があります。焙煎が楽しいとのことですが、どんどん幅広く勉強してみてください。ほかの段階を勉強することで焙煎にプラスになることがきっとたくさんありますから。
カップテイスターズチャンピオンシップの会場にいらっしゃったのですね、僕は仲間と最前列で応援してました。こんどどこかで会えることがあれば挨拶させて下さい^^
また、twitterでも声かけてくださればと思います。→ @espressoizer
では今後ともよろしくお願いします♪
Posted by ホゼ at 2011年11月25日 16:28
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