2014年01月23日

TDS計とコーヒー

分析機関にお勤めとか、大学で化学分野を専攻していたとかじゃない限り、TDSと言えば東京ディズニーシーである(TDSでgoogle検索するとパスポートのいらない夢の国ばかり検索結果に並ぶことになる)。

ところが「今、コーヒー業界でTDSがアツい!」となると、ちょっと様子が違ってくる。
エスプレッソマシンで使用するポルタフィルタのバスケットや、グループのスクリーンでお馴染みのVSTが販売しているTDS計が、アツいのである。
VSTのストアで買うとUSドルで799だそうだ。けっこう高い。高いけど、みんな買ってる。
この流れに乗るしかない、というわけで僕も買ってみた。

s写真 (8).jpg

VST社のものではないのだけど、一応、TDS計。ちょっと計ってみたら、ちゃんと使えるっぽい。

今回は、TDSとコーヒーの関係とは、TDS計をどうやってコーヒーに役立てていくか、そういうところを考えてみたい。

さて、TDSとは何かというところから説明していかなければならない。
まるっとコピペするとわかりにくくなるので、すごーく簡単に言うとこうなる(と思う)。
TDSとは総溶解固形分のことで、水溶液の中に溶けてる「何か」の量のことである。

で、それをどうやって計るかというと、おおまかに言って二通りの方法がある。

ひとつは、VST社で販売しているヤツの採用している方式で、水を通して見ると物が折れ曲がって見えるという原理を利用したもの。
水の中で見えるものの長さがいつもと違って見えたり、水に入った部分が折れ曲がって見えたりした経験を(特にお風呂の中で)お持ちではないだろうか。空気中と水中では、光の進み方が違うので、そう見えるのであるが、屈折計はこの光の進み方の違いを測定しているわけである。真水の曲り方を基準として、測りたい水溶液を通った光がどれだけ曲がっているかで、その水溶液にはどのくらい混じり物があるかを推測するのである。
通常、スクロース(つまり砂糖)がどれだけ溶けてるかというのを計ることが多いが、有機物が溶けてればなんとなく屈折率が違ってくるので、それがスクロースでなくとも「何かが溶けてる度合」を計ることができる。
原理的に、濁ったものや不透明なものの測定が苦手である。

もうひとつは、僕が買ったヤツの採用している方式で、水に何かが混じってると電気の通りが良くなるという原理を利用したもの。
真水はあんまり電気を通さないけれども、たとえば塩を溶かすと電気の通りが良くなる。塩の濃度が濃ければうんと良くなる。その仕組みを利用して、水溶液中に電極を二本入れてその間の電気の通り具合を測ることで、どのくらい混じり物があるかを推測するのである。
屈折計が砂糖ならこちらは塩で説明すると、塩はNaClだけどこれが溶けた水溶液に電流を流すと、NaプラスイオンとClマイナスイオンになって、2枚の金属板の間を移動していくのである。塩分が濃ければ電気の担ぎ手であるイオンの量も増えるので、電気が流れやすくなるわけ。ああ難しい。

どちらも一長一短があるわけだけど、溶けてるものの量を計るという目的で使用される、一般的な計測器具である。

では、これを使うことで何がわかるか、を考えてみる。

s写真 (8).jpg

これ、SCAAが学者の先生と共同で研究したコーヒーの濃度と美味しさ(?)の関係をあらわしたグラフなんだけど、どんくらいの濃度だとどんな味になります、ということがわかるようになっている。
これだと、濃度(パーセント)表示なので、brix値が出るほうがわかりやすい。というわけで、VSTのTDS計は屈折式なのかなと思ったりする(要審議)。
なんとなく、確かにそんな感じになるよなーと思わせるだけの説得力のあるグラフである。

でもなんか釈然としない感じも残る。学者の先生が研究室で高級な計測機器を使って(たとえばLC-MASとか使えば、より正確に成分と濃度(定性と定量)ができるはず)調べたりしてるんだろうなあと思うと、簡易型のものでどれほどのことがわかるかというのが、疑問なのである。

僕は学者じゃないし、読者も学者じゃないので、ものすごーくざっくり説明すると、屈折計は砂糖の濃度を、導電率計は塩の濃度を測るのが得意なんだけど、コーヒーの成分がどっちよりなのかわからない。
TDS(総溶解固形分)が測れると言うけれども、屈折計にしろ導電率計にしろ温度が違えばその結果が変わってくるし、そもそも検量線(基準になる連続した値のこと。あらかじめ成分と濃度がわかっている水溶液をいくつか測って、実際に測った値を線にしておくことで、何かを測ったときにどのくらいの濃度なのかがわかるようにする)を引かないと正確な測定とは言えないだろう。
何を測定しているのかわからないで測定しているわけだから、ただ「濃いか薄いか」しか測れないと言って差し支えないと思う。(定量はできるけど、定性ができてない)

という前提条件で、さてコーヒーを測定することで何がわかるかなー?と考えてみた。

抽出の場合は、パラメーターが「湯温」「粉量:抽出量」「時間」の三つになるので、これらのパラメーターを動かしたときに濃度がどうなるかということを測定すると面白いだろう。

焙煎については、焙煎プロファイルを変えて同じL値(黒→白を0→100として、コーヒーの表面の色がどのくらいかで焙煎度合に当てはめる。たとえばシティローストだと20くらい)にして、抽出条件をそろえた抽出液にして濃度を測るとか。焙煎プロアファイルを同じにしてL値を変えて、抽出条件をそろえた抽出液にしてとか。
焙煎そのもののパラメーターはたくさんあるけれども、濃度を測定するパラメーターとしては、プロファイルとL値のふたつかな。


業務上、コーヒーを扱うならば、どの段階(生豆、焙煎、抽出)に携わるとしても、あって損はない計測機器であると思う。使いようではその計測結果がかなり有益な指標になり得るはずだ。
しかし、大事なのは、屈折計は「真水と比べてどのくらい屈折率が違うか」、導電率計では「真水と比べてどのくらい電気の通りがいいか」を計測しているだけで、濃度を調べているわけではないということである。もちろん、近似値として利用できる程度には密接な近似があるということなのだが、それでも、濃度そのものを調べているわけではないというのは頭の隅に置いておいたほうがいいだろう。
それと、近似値としての濃度が測れるにしても、何の濃度を計っているのかがわからないこともついでに覚えておこう。コーヒーの濃度を計っていると言っても、コーヒーはたくさんの成分を持っている。その計測方法で測れる成分はその中の一部でしかない(とは言ってもそれは数えきれないほどたくさんの成分だ)わけで、その計測結果はそのコーヒーの濃度についてすべての情報を持っているわけではないってこと。
それと、もうひとつ大事なのは、単純に美味しさを現す指標ではないということだ。おそらく、美味しさと何らかの、そしてどれほどかの相関があることはあるのだろうと推測されるが、その関係をきちんと表すにはちょっとハードルが高そうだ。前掲SCAAの図にしても、真ん中は「バランスがいい」ってことで「美味しい」とは言ってない。

さてさて、皆さんはどうTDS計を使うだろうか。
この記事を読んで、もし、もっといい使い方があるよということであれば是非ご教授いただけるととてもうれしい。なにしろ、僕も大枚はたいて買ってしまったのだから、なんとか役に立てないと勿体ないからね。


※学術的な記述について誤りがあればご指摘くださいますと幸いです
posted by ホゼ at 09:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | エスプレッソ技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月18日

コーヒーを美味しく飲むには

えーっと、コーヒーを美味しく飲む方法です。

このブログを読んでる人は、もう耳にタコな話かもしれません。

このブログでも、淹れ方についてそれっぽい記事を書いたことがあります。しかしそれはそれとして、ちょっと書きたいことがあるのです。ひとりの消費者として、コーヒーはこうしたほうが美味しく飲めるんですよと。

◆   ◆   ◆


コーヒーを美味しく飲む方法というのは、もう昔っから各種メディアやインターネット上で紹介されているし、論じられている。出尽くした感がある話題であり、それを大上段に構えて「コーヒーを美味しく飲むには」なんてブログ記事を書くなんて今更感が激しいことこの上ない。
いつも巡回するブログやサイトを見ても、大なり小なり取り上げ方に差はあれど、たいていのコーヒー関係のサイトではおすすめの淹れ方を紹介している。長年の経験による方法、最新の機材や淹れ方の紹介、それらを読んで、なんとなく平均を取れば、それなり以上に美味しいコーヒーが淹れられるんではないかと思う。

そこで「コーヒーを美味しく飲むには」なんて二番煎じもいいとこだ!蛇足!なんて声が聞こえてきそうではあるが、まあそこはほら、ビバ!ロングブラック!的コーヒーの美味しい飲み方ということで少しの間、お付き合いください。もしかしたら、目からウロコの新しい発見があるかも!?(効果には個人差があります)


まず、なんでこの記事を書こうかと思ったなんだけど、よくあるタイプの「コーヒーの美味しい飲み方」を読んでいつも不満に思うことがあるんだよね。それは「今それ聞いても役に立たねーよ!」ってこと。
だいたい、僕はズボラであり、めんどくさがりである。たとえばコーヒーを飲もうと思ってふと「コーヒーってどうやって飲んだら美味いんだろうなあ?」ってグーグル先生に聞いてみるタイプだ。そのときにこんなこと言われても、時すでに遅しなんだよね。
(以下に出てくる僕は「僕(仮想)」ということで、ただのコーヒー消費者であるとします)

「家でコーヒーを淹れようと思ったときにふとグーグルで美味しいコーヒーの淹れ方を検索した結果の上位に出てくるサイトでよく見るタイプのアドバイス(と、それを見た僕の反応)」
・一人分120tで、コーヒーの粉は10gです(←ハカリが無い、あるいは出すのが面倒くさい)
・お湯の温度は92度(←温度計がない)
・軟水で(←どうやって調べるんだよ)
・購入してから2週間で飲みきりましょう(←いつ買った豆かすでにわからなくなってる)
・ペーパードリップなら、中粗挽きで(←中と粗の中間が微妙でわからない)
・口の細い専用のポットで(←持って無い)


書いてるとキリがないのでこのへんで紹介を終わりにしたいが、結局こういうことというのは「今飲むコーヒーを美味しく淹れるために」という場面で知ってもたいして役に立たないのだ。
もちろん、これから器具をそろえてコーヒーを買っていつか美味しく飲むときに最高の状態で飲みたいという方には、非常に役に立つ。それはわかる。しかし、ズボラでものぐさな人が「どれどれ?」って検索したときにこんなこと読んでも時すでに遅しなんだよ。

というわけで、ズボラでものぐさなアナタへ朗報です。今飲むコーヒーを少し美味しくできる方法をば、お教えいたしましょう。読んでコーヒーを飲みたくなったら、まさに今、役に立ちますよ。素晴らしい。
(なお、以下一杯分のコーヒーを淹れる手順を紹介しています。もし二杯分以上の場合は、適宜読み替えてください)

まず、いつも淹れるように器具などをそろえよう。
このときに注意したいのは、美味しく飲むためにはいつも通りじゃちょと力不足だってこと。
いつも飲むカップがシブなどで汚れてるとか、フチが欠けてるとか、惰性で手前にあったカップを持ってきたとか、そういうのはダメ。美味しく飲むんだから、いいカップで飲もう。
客用のとっておきのがある? じゃあそれで飲もう。 なにかのロゴかなんかの入った非売品のカップを飾ってる? せっかくだから使おうよ。 箱に入ったやつがあったっけ? 出そう出そう。新しいのおろしてみよう。 同じコーヒーを飲むんでも、いままでとは違う気分に(しかも、いつもよりもすごく「いい気分」に)なるに違いないから。
それと抽出器具。ペーパードリップなら、(1)ペーパー (2)ドリッパー (3)カップ これだけしかない。しかないけど、ここにひとつ工夫をする。(4)清潔なスプーン(ティースプーンでOK。あれば計量用のスプーン)と、(5)小ぶりのカップあるいはコップ、それと、(6)それらを載せるトレイまたはお盆あるいはテーブルクロスなど、を用意する。

これで抽出するための道具はそろった。配置はこうだ。

あなたがコーヒーを飲む場所(デスクかもしれないし、ソファの前の小さなテーブルかもしれない。ダイニングかも、庭に置いたガーデンテーブルかもしれない。とにかく、くつろいでコーヒーを楽しめる場所であればどこでも!)に、いま書いたものをセットする。お盆(トレイ、テーブルクロス)の上に、ペーパーをセットしたドリッパーと、スプーン(これは2本あるとなおいい)、小さなカップかグラス、そして今日のコーヒーを楽しむためのカップを置く。バランスよく、きれいに配置しよう。

次に、コーヒーを楽しむための準備をする。
コーヒーを飲むにはコーヒーと口(と胃袋)があればOK、というような単純なものではない。いや、飲むにはそれで事足りるのかもしれないが、楽しむためにはもうちょっとだけ、工夫が必要だ。
まず、食べるかどうかは知らんが軽くつまめるものを用意する。
今淹れるコーヒーが軽い焙煎であっさりした風味なら、フレッシュなフルーツを切ったものやドライフルーツなんかいいね。フルーツのタルトなんかあるといいけどちょと無理か。レアチーズケーキ・・・これも無理か。食品のストックにフルーツの缶詰(ありがちなのは桃カンだ)なんかない? そういうのがあれば、先に用意しておこう。
もし強い焙煎でしっかりめの風味なら、チョコやミックスナッツ、ブラウニーなんかない? ガトーショコラなんか最高だけどこれも急には無理か。大福や羊羹なんかもかなり当たりだからオヤツにしようと取っといたのがあれば出してみよう。
しょっぱいものでもいいんだけど、やっぱり甘いもののほうがシアワセ感が出るよね。コーヒー飲んでるときにちょっと口に入れたいな、って思う(か思わないかはその時次第だが)、そのときにわざわざ席を立ってオヤツを取ってくるのはせっかくのコーヒータイムに水を差すようなもの。甘いものを少々、手元に置いておこう。そのときに大事なのは、やっぱりちゃんとしたお皿にあけること。カップに気を使ったんだから、こっちにもね!

はい。ここまで準備してやっと抽出する運びとなる。長かった。手間がかかった。しかしここからは超特急である。お手軽簡単である。ちょっとだけ、気を付けることがあるけれども、それすらここまでの準備にはたいた労力からすれば「たいしたことない」ことだ。

そのコーヒーはいつ買ったんだろう? 銘柄は、そう、パッケージに書いてあるね。保管の状況は適切だったかな? 前回飲んだときにはどんな印象だったっけ? とまあ、ここが深淵なる抽出のラビリンスの入口となるわけだが、そのラビリンスですらいともカンタンにスパっと解決できてしまう方法がある。いくつかのチェックポイントさえクリアすればね。

まず糸口を探そう。いちばん大事なのはこれ、「そのコーヒーは美味しいヤツだったっけかな?」である。
記憶が確かなら、これは(a)この世のものとは思えないほどサイコーにイカしたコーヒーだった (b)味は記憶にはないがマズくはなかったぞ (c)えーっと、スーパーかどっかで買ったんだっけかな、好みじゃない味だった わけであるが、それぞれに応じて淹れ方を変えてみよう。
(a)の場合は、なるべく高温のお湯を使い、すこし速めに抽出してしまおう。
(b)の場合は、高温のお湯で、すこしゆっくりめに落としてあげる。
(c)の場合は、すこし冷まし気味のお湯で、さーっと出してあげよう。
そうすることで、(a)は美味しいところを伸ばしてあげることが、(b)はそのコーヒーの成分をちゃんと出してあげることが、(c)はあまりイヤな部分をカップに落とさないことができる。
・・・という、3パターンの抽出方法のどれかを選び、実行することで「自分の好みを反映させた抽出方法で、そのコーヒーをより自分にフィットさせることができた」という何やらプロっぽい雰囲気も満喫できる。

次にコーヒーを実際に抽出するときに計量カップもハカリもいらないマル秘テクニックをお教えする。
初めてのレギュラーコーヒーの抽出でない限り、なんとなく「こんくらい」という粉の量とお湯の量はあると思う。それを踏まえて、計測器具を使わずともすこーしだけ美味しくすることができるコツがある。
ここで役に立つのがティースプーン。ティースプーンで豆を掬いミルに入れるか、あるいは挽いた粉のパックからティースプーンで必要量を掬う。いつも通りに掬ったら、あとふた掬いする。要するにいつもより多めにコーヒーを使うのである。
優雅な手つきで(ガサツにやっちゃダメだ、ここも雰囲気を重視してあくまでもプロっぽく振舞おう)ペーパーの中に必要と思われるより少し多めのコーヒーの粉を入れたら、抽出していく。ポットがなければヤカンでもいい(淹れにくいけど)。ここも優雅な手つきでやりたいのだが、これにはちゃんと意味がある。特にヤカンなんか使うとお湯がドバーっと出てしまうわけだが、優雅にやろうと思えばヤカンでもチョロチョロ出すことができる。それが狙いだ。
そしてカップの中の液体がいつもより少ないところで、あらかじめ用意してあった小ぶりのカップまたはグラス(覚えてる?用意したよね?)に受けかえてドリッパーをカップから外す。あら素敵。プロっぽい。

もちろんここまでの作業で粉やお湯などがこぼれたりした場合は、ちゃんと拭き取ってください。そういうとこ、大事ですよ。

で、カップの中には濃いめの液体が入ってるわけ。
これ、なんで濃いめにしとくかというと、ドンピシャの濃度に出すのはやっぱりハカリとか必要なんだよね。粉の量に対してカップに入る液体の量の多少が前後10%程度でないと、狙い通りの抽出にはならない。となると、やっぱりハカリが必要。しかしながら、それよりもうんと濃いめに落とすということなら話は簡単だ。想定しているところより全然濃くていいわけだから、ハカリなど必要ない。
もちろん、逆にめっちゃ薄く出すっていうのもハカリが必要ないんだけど、薄いコーヒーを濃くするのは非常に難しいけど、濃いコーヒーを薄めるのは簡単なんだな。だってここにお湯あるし。

というわけで、抽出し終わった濃いコーヒー、これを好みの濃度になるようにお湯でうめていく。お湯を少し注して、ティースプーンでかきまぜる(ここで二本めのティースプーンが役に立つんだね!)。ちょっと飲んで濃ければもう少しお湯を注す、の繰り返し。
美味しいと思うコーヒーなら濃いめでお湯を注すのをストップ、あんまり好みじゃないならすこし薄くなるまでお湯でうめて飲むといいかも知れない。ま、好みなんだけど。
自分用であれば、ちびちびとやりながら、少しずつ濃度を薄くしていって風味の変化を楽しむのもいいね。むしろ、そうやって飲むことがなんだかサレオツな感じがするのは気のせいではあるまい。

抽出した道具は、準備したときと同じようにきちんと並べておく。あとで片づけるときに、ぐちゃっと乱雑においてあるんじゃ、気分が台無しだからね。そして引っかけて倒したりしないように、すこし離れたところに置いておこう。キッチンまで戻してもいいね。

そしていよいよ、コーヒーを楽しむ時間がやってくるわけだ。
甘いものをつまみながら、自分の好みにあわせて抽出テクニックを駆使した最高のコーヒーを飲もう。
いいカップで、小ぎれいに盛り付けた甘いものと一緒に、自分好みなコーヒーを飲む幸せ。
もし何かの作業をするなら効率アップ間違い無し、もし読書しながら飲むならその読書タイムのクオリティアップ間違いなし、もし気分転換のためだったとしたら素晴らしい気分になること間違いなし。

以上、ビバ!ロングブラック!的「コーヒーを美味しく飲むには」でした。パチパチパチ。


◆   ◆   ◆



コーヒーを飲むということは、その雰囲気も楽しむということなのです。
最高級のコーヒー豆を購入して、目を三角にしてきちんと計量してタイムを計って細心の注意を払ってコーヒーを淹れることも、それはそれで正しいと思うけど、てもとにあるコーヒー豆を使ってできる範囲で気を使ってあげることで、計測機器を使わずとも美味しいコーヒータイムを過ごすこともできるのです。
どれが正解ということはありません。みなさんも自分なりに「いつもよりも美味しいコーヒーを飲む」ためにすこーしだけ手間をかけてあげてください。高品質の豆を取り寄せたり、ハカリやストップウォッチで計測する手間をかけるのもいいですし、それらを準備することができなければ、それ以外のところで知恵を絞って手間をかけてあげましょう。その手間の分だけ、コーヒータイムはきっと美味しくなりますよ。
posted by ホゼ at 09:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月11日

焙煎スタイル!

新年あけましておめでとうございます。
昨年は、ブログの更新が少なすぎましたので、今年は去年の倍くらいにしたいなと思います。できれば月イチくらいで書きたいですね(去年はそんなに少なかったんだ!)。それでは今年もよろしくお願い致します。




さて2014年最初のお話は、焙煎について。


焙煎をするのに、これはほかのことにも言えるのであるが、やっぱりここをおろそかにはできないなあと思うのが段取りである。段取りをきちんとしたほうがいい理由は、段取り通りにやれば素晴らしい結末が待っているから、である。
もともと「段取り」は芝居で使われる言葉で、芝居を成功させるために細かいところまできちんと決め事をしておくこと、だそうで、焙煎も同じで、カップにしたときの素晴らしいコーヒーを思い描いて、その結果になるように細部をきちんとデザインすること、これが段取りであろうと思う。

それを踏まえて僕が大事に思っていることは、二つである。
一つは、きちんと自分の中でカップにしたときの素晴らしいコーヒーがイメージできているかということ、もう一つは、そのためにデザインした段取り通りに進行したかということ、である。
この二つの要素は主従の関係になっていて、まずイメージがあり、それを実現するための段取りをデザインし実行するわけである。
この主と従が逆転することは無い。なぜなら、完成型のイメージが無いのに段取りが組めるわけが無いからである。

さて、この二つであるが、非常に大事な前提条件をそれぞれに持っている。
まずイメージの話では、その完成型、つまりカップになったときに、素晴らしいものになっているということ、そしてそのカップはきちんと自分の目指しているものであることである。
そして段取りの話では、その段取りは完成型になるようにデザインされているか、そして再現性が高いものかどうかが大事だ。

二つを並行して話していとどうもこんがらがりそうなので、イメージと段取りの話を分けて、すこし説明しよう。

イメージというのは、カップにしたときに、飲んだ人がこう思うはずだという具体的なイメージである。それは、焙煎者によって違って当然だろうし、実際に違うのだろうと思う。
例えば、こんな感じだ。
焙煎者A「スペシャルティコーヒーの神髄を味わってもらえるようなカップ」
焙煎者B「毎日飽きずに飲めるコーヒー」
焙煎者C「深煎りファンが唸る味」
焙煎者D「違う世界にトリップできるような」
焙煎者E「イタリアのバールを彷彿とさせる」
焙煎者F「小さな幸せを日常に感じてもらえるカップ」
エトセトラエトセトラ(素子嬢オマージュ)。これは焙煎者の数だけイメージがあってもいいのではないかと思う。
イメージするところが何かというのが決まっていれば、いつもその心の原則に従って焙煎をするはずである。ブラジルであれエチオピアであれ、コンテスト入賞豆であれ平凡な豆であれ、いつも心の原則が生きた焙煎になる。そしてそれが焙煎者のスタイルになる。
つまり、カップにしたときにその焙煎者それぞれのスタイルがカップに出るわけなんだ。ただ、最初からスタイルがあるわけじゃない。そのスタイルは作り上げていくものである。厳しい言い方をすれば、スタイルを確立しなくていいい焙煎者もいるだろうし、確立したくても志半ばで舞台を降りる人もいるだろう。スタイルがあると思ってやっていても伝わらないってこともあるかも知れない。むしろ、スタイルがあるって周りが認めるほどの焙煎をしている人のほうが極々少数派なのだろう。僕だって、ぜんぜんスタイルがあるなんてとこに到達してない。でもそのスタイルをなんとかして表現したいと思ってる。

段取りについては、これはもうイメージしたカップを実現するためにどうやったらいいかということに尽きる。
投入温度は? ガスのコントロールは? というようなテクニカルな部分をきちんと段取りしてなければダメだ。毎回ブレるようでは、タナボタなカップがあるようでは、ダメ。どういうカップにしたいかというのがあればその結果を得るために段取りが決まるわけだから、ブレたりフロックがあったりはしないハズなんだ。
ただし、その段取りは「こんくらい」が通用する世界である。「釜の蓄熱量がこんくらいだから、ガスはこんくらい」が通用してこそスタイルだと思う。データ通りに再現したら同じ焙煎になった、ではスタイルが出てるとは思えない。スタイルがあるってことは「あ、これはアイツが焼いたコーヒーだ」ってことなんだ。
それをもっと突き詰めて考えていくと、焙煎しているときの服装や、その時に聴いてる音楽、焙煎機に当たる照明なんかも、目指すカップに合わせていかなきゃならない。(おっとオカルトじみてきましたか? 読者がサーっと引いていく音が聞こえますが気のせいですか?)

で、イメージの話と段取りの話の理解が深まったところで、ちょっと前のほうに戻る。
主従は逆転しないという話だ。

主はイメージ、従は段取り。これが合わさってスタイルになる。
という話なのだが、まず段取りありきということにはならないところが重要である。例えば、とあるコーヒーを飲んだら「ちょっと焦げてる」と感じたとする。しかしそれがスタイルであれば容認され得るというところが重要なのである。
主であるイメージに「ちょっと焦げ」という要素が入っていればそれはむしろ成功であると言える。きちんと「ちょっと焦げ」をカップに出すように従である段取りをデザインできており、その段取り通りにきちんと焙煎した結果であるからだ。
ネガティブな「焦げ」を例に出すとわかりやすいので、最初にこの例を出したが、そのカップを手に取った全ての人が感じるすべての要素が、スタイルとして容認され得るところが重要である。極端なところを言えば「彼の焙煎したコーヒーは美味しくない。しかしそれが彼のスタイルとしてそれが支持されている」ということもあり得るのである。もちろんポジティブな要素でスタイルが構成されている場合のほうが多いと思う。しかし、ネガティブな要素がスタイルになり得ない、ということはあり得ない、のである。

コーヒーそのものの価値のほかに、お客様はいろんな価値を見出してそのコーヒーを支持する。常に袋の中のコーヒー豆だけの価値で購入するわけではないし、カップの中の液体のみを味わって判断しているわけではない。
パッケージはどうか、お店の雰囲気は、立地条件や交通の便、コーヒー以外のメニューは、などとコーヒー以外にまつわる要素はいくらもある。しかしながら、スタイルというものに惹きつけられてそのコーヒーを支持する、ということもあって然るべきだし、実際にある。無いと困る。(無いってことになるとここまでの長文が意味無くなっちゃうんだよ)

誰かを惹きつけてやまないそのスタイルの圧倒的な魅力の前では焦げや水抜き不足など取るに足らない揚げ足取りなのかもしれないし、良く焼けたからと言ってそれがスタイル未満であれば誰かの目を奪ったり足を向けさせたりする要素にならないのかも知れない。
というようなことが、ある。あると信じる。信じて、僕は焙煎するのだ。



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2014年、新しい焙煎「b-profile」によるコーヒーを順次発売していきます。
いままでのSSEのようで、まったく新しいSSE。そんなコーヒーを実現する「b-profile」コーヒーで、いままでと違うSSEのスタイルを感じてください。
posted by ホゼ at 20:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 焙煎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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