2012年07月23日

ペーパードリップの大いなる誤解

ジャパンハンドドリップチャンピオンシップという大会がある。
日本スペシャルティ協会というところが主催している、ペーパーフィルターを使用したドリップコーヒーの味覚を競う大会だ。

ジャパンハンドドリップチャンピオンシップについて詳しく知る

んで、そのジャッジをやらせてもらったわけで、それについてちょっと雑感を。
(今日、東京予選二日目が終了して、予選の全ての日程を消化したので、ネタバレというかちょっと突っ込んだ話をしてみます。まあ問題は無いと思うんだけど・・・)

はい、これが本日のお題。

【コーヒーを美味しく抽出するって難しいんだね!】

何を当たり前の事を言っているんだ、という話なんだけど、僕らは意外なほどコーヒーの抽出について勘違いをしているようだ。
僕が感じたペーパードリップによるコーヒーの抽出に関する誤解を箇条書きにしてみる。

@スペシャルティだから高温、コマーシャルだから低温のお湯を使用する
→ベストなお湯の温度はそのコーヒーによって違うし、狙う風味によっても違うでしょう
A焙煎の深さによって湯温やメッシュを調整する
→焙煎の深さだけで湯温やメッシュを決めるのは危険です
Bコーヒー豆の量に応じて湯量を決める
→豆の量と湯量はそれほど相関が無いでしょう
C蒸らしや抽出の時間は最適な解がある
→ある程度の幅には入るでしょうが、それほど狭い幅ではないでしょう
Dこの器具(ドリッパー、ペーパー)でないと美味しくできない
→器具で左右される割合はそれほど多くないでしょう
E点滴、細く、回数を分けて、注ぎ続けて、円を描くように、中心を太く、などの注ぎ方のテクニックが重要
→テクニックより条件設定のほうがよっぽど重要でしょう
Fペーパーは濡らす、あるいはペーパーは濡らさない
→そういうことより条件設定のほうが重要でしょう
Gサーバーは温める、あるいは温めない
→そういう(ry
H濃い抽出のほうがより風味が抽出できる、軽い抽出のほうが飲みやすい
→よく聞く話ですがそんな簡単なものじゃないでしょう
Iペーパードリップのコーヒーは飲みやすい
→紙で濾されて成分が限定されてカップに入る分、より欠点を感じやすくなるとも言えるでしょう

もっともっとあるんだけど、とりあえず思いつくまま10個ほど書いてみた。
これらの項目意外にも、いろいろと定説や常識があると思うんだけど、それらも含め、意外なほどの誤解や勘違いがあると思った。
とにかく言えるのはただひとつ。

「抽出に関する全ての常識を疑ってかからないと、そのコーヒーに対するベストな抽出が出来ないよ」

この場合のベストとは「濃くもなく薄くもなく、つまりちょうどいい濃度で、尖ったところの無い風味でかといって欠けてる風味も無く、つまり過不足なく風味を抽出できていて、悪い風味が出てないけど良い風味はちゃんと出ていて、つまり抽出不足でも過抽出でもない抽出」のことだ。
そしてそういう抽出をするにはそのコーヒー持つ風味特性を、その焙煎特性を、そしてミルの性能を、ペーパーの、ドリッパーの、湯量の、湯温の、注ぎ方の・・・全ての特性をパズルさながらに組み合わせてベストな解を作り上げないといけないのだね。
とんでもなく大変ですよこれは。生半可じゃないです。ジャッジをやってみて、これほどまでに難しいものなのかと思い知らされましたよ。
何しろ、

同じコーヒー豆、イコールコンディションであるにも関わらずこれほどの差がついて、条件設定など各自創意工夫の末に抽出してもこんなに同じような抽出になる!

のだから。


焙煎した人が同じでも、焙煎の度合いが同じでも、ベストな抽出の条件はそのコーヒーによって変わる。これは間違いないようだ。
僕はコーヒーの抽出は「大雑把にこの条件設定で正解に近く、焙煎度やコーヒーの特性によって多少パラメータをいじってベストな抽出を探る」と思っていた。
中挽き 25g 300cc 90度 蒸らし1分 抽出2分、このパラメータを前後させてベストな解を探る、という感じだった。
しかしそれは大きな誤解(間違い?)だった。

クリティカルに影響を及ぼすパラメータは何か?
変わっても影響が少なく無視できるようなパラメータは何か?

まずこれを探るところがベストな抽出への旅のスタートだ。

全てを疑ってかかるということは、こうしたらこうなる、という常識を疑うことだ。
×こうしたらこうなる ○こうしても特に変化がない ということがあり得るからだ。
つまりそこの部分のパラメータは動かしたところで結果無視できる程度の影響しか無いわけだが、そこを動かすことで別のパラメータを動かしたと同じような結果を(巻き添え的に)発生させてしまうことがあり得るということを考えなければならないのだ。
これは本当に難しいことですよ。
何しろ、その別のパラメータもまた同じように結果無視できる程度の影響しか無いこともあるわけで。
いったい、何がクリティカルな影響を引き起こすパラメータなのか、それが見極められないと条件設定もままならないわけ。

(そしてここからが驚愕の展開。まさかの結末。旅の終わりがこんなことになるなんて)

そしてやっと最適な条件を見つけて、注意深く条件通りに抽出をし、そのコーヒーのベストであろうコーヒーをカップに落としてみたら、何のことはないそのコーヒーは「ああこのコーヒーは普通に美味しいね」という話なのだ!

ええええええええええ?こんだけ苦労して結果出てきたコーヒーが「普通に美味しい」だとおおおおおおお?

と言いたいのはわかります。しかしながらこれが普通に美味しいコーヒーなのですよ。
条件の揃ってないコーヒーは、この「普通」にたどりつけなかったコーヒーなのですよ。

というわけで、ペーパードリップというものに持っていたイメージと、けっこう違いません?

◆     ◆     ◆


さて、この話、特にペーパードリップに限ったことじゃなくて、僕の中に「こりゃ大変だ、エスプレッソだってもっともっと条件を詰めることができるだろうし、そのくせ要らない調整で四苦八苦してたんじゃねーの?滝汗」という不安要素を引き起こしているわけだ。ああコーヒー怖い。


ということで、僕がJHDCのジャッジをしてきました、という話の結論は「コーヒー怖い」ということになった。それでいいんかいと思うけど、まあ的外れってことでもないし、ま、いっか。
posted by ホゼ at 22:34 | Comment(2) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年07月13日

レンタルエスプレッソバー

こんなビジネスができるんじゃないかというメモ。

ウチはエスプレッソ屋なので、エスプレッソ推しになってしまうわけで。
エスプレッソじゃないとダメってモデルじゃないんだけどそこはほら、ウチはエスプレッソ屋だからw

というわけで、ミニマムなエスプレッソバーっていうとどんな感じだろうか。
必要最低限ってことで考えると、エスプレッソマシンとグラインダー、それに冷蔵庫があればエスプレッソバーとしてなんとか営業することができる。スペース的にはミニマムで50センチ四方ほどもあれば可能だろうか。
屋内なら電源はどっかにあるだろうし、水はタンク、排水も何かで受ければ下水につながってなくても大丈夫。冷蔵庫は小型でも冷凍庫付きのヤツなら、アイスドリンクだって氷入りで出せる。

そこで、こういうものを考えてみた。

「エスプレッソバー3点セットレンタル」

エスプレッソマシンとグラインダーと冷蔵庫の3点セットだ。
これさえあればエスプレッソバーになる、という最低限の三つをレンタルしますんで、ほんのちょっとした場所さえあればそこがエスプレッソバーになりますよ、というもの。

これだけならただの機材レンタルなんで目新しいことも何もないのだけど、ここにバリスタも一緒にレンタルするっていうことならどうだろう?
バリスタが淹れる本当に美味しいエスプレッソが明日から飲めるようになる(お金はかかるけど)なんて素敵じゃない?

レンタルしたいというところはたくさんあるだろう。
なにしろカウンターの隅っこを1メートルも空けてあげれば、エスプレッソバーを導入することができるのだ。
雑貨店、美容室、書店、靴店、アパレル、あるいは工場や会社、役所、美術館、水族館・・・ もうそれこそ世の中のありとあらゆる業態で需要がありそう。

課題を整理してみると。

1)もちろんのことながら保健所など関係許可等を取得しなきゃならない
2)ニーズに応じた機材とバリスタを用意してなきゃならない
3)採算が取れるようなシステムにしなきゃならない

うーん、けっこうハードル高い?

まず許可等はとにかく法令を遵守して取るしかない。その場所で出来ないなら、やれないということだ。場所によるだろうなあ。
次に機材とバリスタを用意してなきゃならないってとこ。これ難しいね。引き合いをもらってから、バリスタを探して、その場所に合う機材をそろえるって感じになるのかなー。とにかく人の問題が一番大変そうだな。
三つ目は、レンタルが決定したらもう売れるように考えるしかない。月額いくらのレンタルにするか、基本料を払ってもらってあとは売り上げでまかなうか、それともまったくの独立採算でやるか。これはケースによるだろうけど、毎月ちゃんとお金が入るようなシステムでないと、続かないわけで、ちゃんと考えないとすぐ干上がるということになりそうだ。

難しいかな。けっこう難しそうだよね。
でもちゃんとメリットもあるんだよね。

コーヒーを淹れる側のメリットとしては。
まずバリスタとして一定のスキルがあるにも関わらずコーヒーを淹れる仕事に就けてない人がそこそこいるってこと。少し大きなお店だとホールスタッフのうちバリスタは1割?2割? それではなかなか自分がコーヒーを淹れる番にならないよね。あるいは自分でお店をやりたいけど資金力もキャリアも無いからと踏ん切れない人。すごく身軽に自分のお店を始めることができるね。そして、今まで可能性の無かった場所をどんどんカフェスペースに転化していけるということ。ビジネスの裾野が広がるというか、ここにもカフェ、あそこにもカフェ、というような展開にできる。打倒自動販売機?(笑

レンタルする側のメリットとしては。
やっぱりローコストあるいは無負担で、なおかつ短期に美味しいコーヒーが提供できるってこと。手軽すぎる。これはレンタルした人(店あるいは会社)が自分で楽しむということもあるけど、その施設に来る人のためにもなる。お店などであれば集客効果があるだろうし、会社であればお客様へのすばらしいもてなしになる。そしてその負担は非常に少ないというオマケ付き。

その両者でない、一般消費者としては。
「ええっ?こんなとこで本格的なコーヒー飲めちゃうの!?」に尽きる。どっかの雑居ビル、複合施設、大型テナントモール、その他いかにもカフェが一軒くらいありそうなとこならわかる。しかし美容室に入ったら、古着屋に入ったら、会社を訪問したら、歯医者に治療に行ったら・・・まさかエスプレッソバーがあるとは思わないから、びっくりしちゃうよねー。


ほらね、課題を解決してなお、ありあまるメリットの山。

誰かこれをビジネスとして展開しないかなー? 意外と、いいアイデアだと思うんだけどなー。
posted by ホゼ at 00:46 | Comment(2) | TrackBack(0) | ビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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